予想よりも早い展開だった。米Google共同創設者のSergey Brin氏は6月第2週,Googleが中国政府からの圧力に屈して「don't be evil(悪行にはかかわらない)」という信条を曲げ,同社の中国向けWebサイトで検閲を行った事実を認めたのだ。ところがBrin氏は過失を認めただけで,検閲をするという判断は見直さなかった。6月8日の時点で,Googleは中国向けWebサイトで検閲を続けている。ただしBrin氏は,進行方向を逆転させる可能性を示唆した。

 Brin氏は6月6日に報道関係者との会談で,「われわれは信条面で妥協したかもしれないとは思うが,最終的には中国の人々により多くの情報を提供し,サービスの効果を高め,違いを拡大できると感じている」と述べた。「こうした原則にもとづく取り組みが,もっと意味を持つようになるだろう」(同氏)。Brin氏は中国政府からの要求を「当社にとって居心地の悪い一連のルール」と呼んだ。

 Brin氏がこのタイミングでコメントを出したのは,偶然の一致ではない可能性がある。中国政府は同じ週,Googleの「Google Mail(Gmail)」や「Google News」といった検索以外のサービスを遮断し始めた。現在Googleは,中国市場からの完全撤退を検討しているらしい。今更という印象も受ける。おそらくこれはGoogleが,1年前に人権問題を抱えている政府からの求めに応じ,自社Webサイトの検閲を実施した際に検討しておくべきことだった。