米New Millennium Research Council(NMRC)は,IPテレビ(IPTV)に関するレポートを米国時間6月7日に発表した。それによれば,同市場は近い将来に数十億ドル規模に成長する可能性があるという。

 現在,同市場ではビデオ共有サイト「YouTube.com」のアマチュア・ビデオやiPodにダウンロードできるようになった人気テレビ番組といった娯楽目的の番組が話題になっている。しかし,今後は専門家や高齢者,共通の趣味を持つ人などの異なるグループのニーズに合わせてカスタマイズされた番組への需要が高まるという。

 同社が報告で引用した他社の調査結果によれば,インターネット・ビデオ市場は今後5年で年間平均32%拡大する。2010年までにIPTVサービスと製品の売上高は550億ドルに達し,IPTVサービスの加入者数は2009年までに3680万人に増えるという。また,北米の加入者数は現在の40倍以上に増えると予想している。オンライン・ビデオに対する関心も高くなっている。2006年2月に実施された調査では,米国人の24%が少なくとも週に1度はオンライン・ビデオを観ていることが明らかになっている。

 同レポートによれば,業界アナリストは,ブロードバンド接続の普及,パソコンやビデオ製品機器の成長に伴いIPTVがケーブル,衛星,従来のビデオに匹敵するプログラム提供プラットフォームになると考えている。プロバイダ側では,IPTV向けにコストを抑えたテレビ番組が誰でも作成できるため,新しいコンテンツを提供する手段になるとみている。

 一例として,米Communication Technologies(COMTek)のサービスを紹介している。同社のIPTVサービスの加入者は,自分のインターネット・テレビ・チャンネルを作成してビデオ・コンテンツを配信できる。これには,電子メール,電子決済,VoIPといったインタラクティブな機能を組み込むことができる。同社は,先ごろ同サービスを通じて環境保護活動を行なう非営利団体のEarth Day Networkと協力し,米国内の1万6000の教室を接続して地球温暖化に関する話し合いを行なったという。

 同レポートでは,IPTVの普及の障害として,フランチャイズ問題,コンテンツ/デジタル著作権管理問題などを挙げている。これ以外にも,アナリストはIPTVの標準規格が必要になると指摘している。

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