法律事務所の米White&Caseは,米国の消費者に対して企業による個人情報の共有について調査した結果を米国時間6月6日に発表した。その結果,回答者の大半は,米企業が個人情報を国外のアウトソース企業と共有することを望んでいないことが明らかになった。

 調査の結果,回答者の51%は,米企業が社会保障番号や運転免許証番号といった個人情報を国外の企業と共有することを望まない,としている。この割合は,個人情報の内容によって異なる。60%はクレジット・カード番号やデビット・カードの口座番号といった個人情報がオフショア企業に提供されることを望んでいない。また,従業員レコードに関しては64%,銀行取引や住宅ローンは73%,健康管理歴では83%が共有されることに反対を示している。しかし,回答者の73%はオフショアのアウトソース企業への個人情報提供を回避するために,製品やサービスの価格が高くなることは好ましくないとしている。

 White&Case社パートナのSteve Betensky氏は「個人情報の窃盗に対する脅威や,アウトソーシングに対する一般的な誤解を考慮すれば,これほど多くの米国人が国外に個人情報が渡ることを懸念しているのは意外ではない」とコメントしている。

 また,米国人がアウトソーシング先としてみる場合,すべての国を平等に捉えていないことが分かった。アウトソース先として47カ国の選択肢が与えられた場合,個人情報の扱いに関して信頼できる国として,カナダ,アイルランド,インドが選ばれている。信頼度が低いのは,フィリピン,メキシコ,ハイチ,ロシアだった。また,調査により82%の回答者は,オフショア企業に十分なセキュリティとプライバシ保護措置を講じさせるために新しい米国の法規制が必要だと感じていることが明らかになった。

 「消費者はセキュリティのために高い料金を払いたくなければ,自動的に政府に助けを求める。増加する規制に対応するために,企業のコストは高くなる。企業にできることは,注意深くアウトソース契約の交渉を進め,アウトソース先にもプライバシ保護策に関わるリスクとコストの責任を負わせることである」(同氏)

 調査は,White&Case社から委託を受けた米Ponemon Instituteが,米国の成人に対して実施したもの。1294人から回答を得た。

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