独Siemensの子会社である米Siemens Communicationsは米国時間6月5日,モバイル・アプリケーションの利用状況に関して調査した結果を発表した。それによれば,米国は携帯端末向けの新しいサービスの普及で他国に後れを取っている。しかし,これらのサービスに対する関心が高く,その差は数年で縮まるという。調査は,ブラジル,カナダ,中国など世界各国のモバイル・サービス加入者5300人を対象に実施したもの。調査対象には米国の1000人も含まれている。

 調査の結果,米国の携帯端末利用者が最も利用したいと考えている機能は電子メール・サービスだった。すでに多くの米国人が仕事とプライベートの電子メール,カレンダ,連絡先を管理するために利用しているが,調査対象となったユーザーの69%が同サービスに興味があると回答している。2位は音楽サービス,3位はテレビ・サービスでそれぞれ56%と53%の回答者が興味を示した。そのほかにも,通話しながら写真やデータを共有できる機能やテレビ電話といった音声サービス,モバイル・ゲームやグループ通話機能が挙げられている。

 さらに,米国のユーザーは,新しいサービスを利用するために現在よりも月当たりの使用料金が平均10%高くなっても良いと考えていることが明らかになった。

 米国以外では,すでに21%が音楽ダウンロード,ビデオ・ストリーミング,ゲームといったエンタテインメント・アプリケーションを利用しているのに対し,米国ではこの割合がおよそ半分の11%に止まっている。しかし,将来的にこれらのサービスを利用したいとしている米国ユーザーは52%に達している。米国以外ではこの割合が62%なので,その差が約2割まで縮まることになる。

 同社によれば,米国以外の市場,とくにアジアのモバイル・アプリケーション市場は,最初にモバイル技術を導入した米国より2年以上進んでいる。米国は巻き返しを図っているが,国の面積が広く,また有線ネットワークへの依存が高いために第3世代(3G)サービスの普及が遅れており,国内の大部分が3Gサービスの圏外にあると指摘。日本のように2001年以降に本格的に同市場に参入した国は,モバイル・ネットワークの増強に着手した時に次世代の3Gネットワークの基盤となるより高度なネットワークを構築することが可能だったという。

 「米国はいろいろな意味でモバイル技術を早期に導入したことの代償を払っている。しかし,米国市場は依然として世界で最大規模のモバイル市場になる可能性がある」(同社ネットワーク部門担当社長のHarald Braun氏)。

発表資料へ