世界中の熱心なWindowsユーザーが,5月第4週にワシントン州シアトルで開催されたWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)2006を待っていた。米MicrosoftはWinHECを「Windows Vista Beta 2」リリースの舞台に選んだからだ。Windows Vista Beta 2は,顧客プレビュー・プログラム(CPP,Customer Preview Program)の一環として一般向けに公開される予定だが,Windows Vista Beta 2のリリース発表から1週間以上経過した今,多くのユーザーが「いつになったら手に入れられるのか」と思いを巡らしている。

 これに対する答えは漠然としている。Microsoftは「Windows Vista Beta 2はすぐ数週間後に提供する」と約束しているが,いまだにリリース計画の内容を発表していない。著者は以前「Microsoftは,全世界のユーザー200万人以上にWindows Vista Beta 2の配布を計画している」との情報を耳にしたが,ダウンロード提供になるかDVDメディア配布になるかは不確かである。

 いつ,どのような方法でWindows Vista Beta 2が配布されるにしろ,熱心なユーザーは不快な驚きに出会うだろう。Windows Vista Beta 2の信頼性は,それ以前のビルドに比べて大きく向上した。それなのに,著者のテスト用システムで1週間使ったところ,数え切れないほどのハングアップやクラッシュを起こし,ブルー・スクリーンにさえなり,満足できるレベルに達していなかった。何が起きたのかはっきりしないが,Microsoftには,より安定性の高いポストBeta 2ビルドを素早くユーザーに出すくらいの賢さはあるだろう。こんな状態でWindows Vista Beta 2を全世界の数百万人にリリースしたら,抗議以外の声は聞こえなくなってしまう。Windows Vista Beta 2は,Windows XPを置き換えて毎日利用するようなOSではない。

 未だに不安定ではあるものの,Windows Vista Beta 2の品質は,2005年に登場した「Windows Vista Beta 1」や2005年末にリリースしたコミュニティ技術プレビュー(CTP,Community Technology Preview)版から大きく改善している。2005年2月のプレリリース版は「feature complete(機能がすべてそろった)」バージョンとの位置付けで,Microsoftはそこから品質改善や調整,仕上げに取り組んできた。ハードウエアとソフトウエアの互換性も,着実に改善したようだ。