「近い将来,米国世帯の85%がホーム・エンタテインメントと通信に月額200ドル以上を支払うようになる」。米Rider Researchが調査結果を米国時間5月31日に発表した。同社によれば,電話,有料TV,インターネットを通じたエンタテイメント・サービスの年間売上高は2400億ドルを超える。同社は,電話とケーブルTV会社が開催したトレード・ショウにおいて,これら企業が語った戦略や計画をまとめて報告した。

 同社によれば,米世帯の約15%は,携帯電話やVoIPを利用するため,従来の電話サービスを解約している。このため,通信事業者は,有料TV事業への参入やブロードバンド・サービスの強化などを通じて売上の損失を補おうとしている。また,「iTunes」をはじめとする音楽サービスやオンライン映画サービスなど,消費者のインターネットを介したエンタテインメント・サービスに対する支出は急速に増加すると予想している。

 家庭向け通信とエンタテインメント市場では,電話,ケーブルTV,衛星TV業界の各社が有力なサプライヤになるためにしのぎを削っている。現在,固定電話,有料TV,インターネット接続をバンドルした「トリプル・プレイ」や,これに携帯電話を加えた「クワドルプル・プレイ」などを提供するマーケティング戦略に最も人気が集まっている。同社によれば,現在別々に提供されているサービスが統合され,今後は「シングル・プレイ」として提供される方向に向かっているという。消費者は,これまでサービスごとの料金を別々に請求されてきたが,シングル・プレイでは請求書が1つにまとめられる。また,家庭における通話にはインターネット回線を利用し,出先では携帯電話ネットワークを利用して通話できるハイブリッド型の電話の開発が進められている。

 サービスを統合した製品を提供するために,米国のケーブルTV大手4社が携帯電話サービス大手のSprint Nextel社と合弁会社を設立している。新会社では,有料TV,ブロードバンド,電話サービスとSprint社の携帯電話を組み合わせた新規サービスを開発している。また,大手電気通信事業者の米AT&Tと米Verizonも,ケーブル通信事業者に対抗できる有料TVとブロードバンド・サービスを提供するために光ファイバ・ケーブルの敷設に着手しているという。

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