ルクセンブルクの欧州司法裁判所は現地時間5月30日,欧州連盟(EU)と米国政府が制定した,飛行機の旅客情報(PNR:Passenger Name Records)開示に関する条約が違法であると裁定した。両者間の条約は,2006年の9月30日をもって失効するという。

 PNR開示に関する条約は,米国議会が2001年9月11日の米同時多発テロを受けて,米国内を離発着,あるいは通過する飛行機に関して,その旅客情報を開示するように航空会社に求めたもの。しかし欧州議会(EC)は,同条約の適法性について審査を求める一方で,EU理事会の条約締結が越権行為であるとして,同裁判所に提訴していた。

 米メディア(CNET News.com)によると,同裁判所の裁定により,ECは米国政府と新たな取り決めを交わすか,各加盟国が米国と二国間協定を結ぶ必要がある。米国政府は場合によっては,欧州の航空会社の離発着を認めないといった強攻策に出る可能性もあるという。

[発表資料(PDF形式)へ]