電子フロンティア財団(EFF)は,米連邦法違反の通信傍受を行ったとして米AT&Tを訴えた民事訴訟に関連し,「AT&Tは米国家安全保障局(NSA)の監視活動を助けるために,少なくとも事業所の1つに秘密の部屋を設けている」と,米国時間5月25日に発表した。

 この係争は,EFFが2006年1月にAT&Tを相手取って起こした集団代表訴訟に端を発する。EFFは,「AT&Tは自社のネットワークを経由する電話通話と電子メールに直接アクセスできる手段を,密かにNSAへ提供してきた」と主張。さらに「一般の米国市民による数100万件に及ぶ詳細な通信記録もNSAに提供した」(EFF)としている。

 EFFは,AT&TによるNSAの極秘監視プログラムへの関与を裏付けるため,裁判所に証拠を提出した。当初この証拠は非公開とされたが,米連邦地方裁判所の判事であるVaughn Walker氏が5月第3週に一部の開示を指示し,公になった。

 公開された証拠によると,AT&Tは大量の電子メールやインターネット上の通信を問題の部屋に迂回させていたという。「NSAは,任意の人物の電子メールを読むことができる。こうした行為は,すべて令状や裁判所の命令にもとづくものではなく,明らかに法律違反だ」(EFF弁護士のKevin Bankston氏)。

 次回の審理は6月23日の予定。その際に判事のWalker氏が米国連邦政府とAT&Tの訴訟棄却動議を検討する。

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