写真1●ブラジルで利用されているプリペイド・カード
 米シアトルで開催中のWinHEC 2006では,パソコンをプリペイド・カード対応携帯電話機のように時間課金して使わせる新技術FlexGoの解説と,利用シーンを想定したデモがあった。

 プリペイド・カード(写真1)を購入し,そこに記載されているキーをパソコンに入力すると,購入した時間分だけパソコンが使えるようになる(写真2)。

 この裏側では,パソコンはインターネットを経由して課金/ライセンス管理サーバーにつながり,入力されたキーを送る。サーバーは送られてきたキーの正当性を確認して,正規のものだと判断したら,暗号化したチケットをパソコンに返す。このチケットには利用時間などが書かれており,パソコンはそれを解読してユーザーにパソコンの利用を許す。

写真2●FlexGo対応パソコンの画面

 もし,ユーザーが購入した時間を使い切ると,パソコンのデスクトップ画面やスタートメニューの背景が真っ黒になり,新しいキーを入力するためのダイヤログを表示する。このときは,ほかのアプリケーションを起動したりできない。

 ただ,こうしたことを実現するにはOSだけでなく,ハードウエアの対応が不可欠である。例えば,タイマーをユーザーが不正に変更して利用時間を延ばしたり,OSを入れ替えてチケットがなくても普通に動かせたりはできなくする仕組みである。そうしたことを実現する技術がFlexGoというわけだ。

 マイクロソフトは,このFlexGo技術を使ったビジネス・モデル(“pay-as-you-go”と命名されている)を新興国向けに展開していく方針である。基調講演(参考記事「Gates会長などが基調講演,Vista,Office,Longhornの3本柱で次世代を築く」参照)でも紹介していたように,従来ならパソコン購入のために600ドル程度は必要だった初期コストを250ドル以下に抑えて購入しやすくするのがねらいである。すでに今週からブラジルでサービスが始まっており,この3カ月でインド,メキシコ,ハンガリー,ソロベニア,ベトナム,ロシア,中国などにも展開していく予定だ。

 なお,ハードウエア面では,Intel,AMD,Transmetaといったプロセサ・メーカーのほか,マザーボード/BIOSメーカーやシステム・メーカー数社が対応を表明している。