Windows XPには,ペン入力に対応したTablet PC Editionが用意されている。Windows VistaにはTablet PC Editionの機能が取り込まれ,Windows XP Tablet PC Editionと比べて機能が大きく強化され,操作性が改善される。
Windows Vistaでは,ペンによる操作に対して,ビジュアルなリアクションが出るので安心して操作できる。例えば画面を軽くタッチ(クリック)すると,池に石を投げたときにできるような波紋が広がって,その操作がPCに伝わっていることをユーザーが認識できる(図1)。これを「ビジュアル・フィードバック」(機能の名称は製品出荷までに変更されることがある)と呼ぶ。現在のWindows XP Tablet PC Editionでは,操作のリアクションが示されないため,PCの処理が遅いだけなのか,それともその操作自体がPCに認識されていないのかが分かりにくかった。そのため同じ操作を何度もしてしまい,結果として後からそれらの余分な操作をキャンセルしなければならないことがあった。
複数のファイルをペンで選択するのも簡単になった。各ファイルに,選択状態を示すチェック・ボックスが表示される。これをチェックすれば,ペンで別の場所をタッチしても選択状態が解除されない(図2)。これまでは不連続な複数のファイルを一度に選択するには,Ctrlキーと同時にペンを操作する必要があった。だがタブレットPCの場合は,キーボードが画面に隠され,Ctrlキーは使えなかった。
「パニング・ハンド」はWindows Vistaが備えるInternet Explorer 7が備える機能である。手のひら型のアイコンをペンで操作することで,次のスクロールなどが可能になる(図3)。言わば,ソフトウエア・マウスである。
手書き認識機能も強化された。まず,学習機能が追加された(図4)。手書き文字の筆跡は人それぞれ異なるが,これまではそれを登録できなかった。Windows Vistaでは,ユーザーの筆跡を覚えさせられる。さらに,ユーザーが能動的に学習させなくても,手書き入力時に自動的に学習機能が働き,使っているうちに認識精度が向上するという。