ソフトウエア権利保護団体のBusiness Software Alliance(BSA)は米国時間5月23日,世界におけるソフトウエアの違法コピーについて調査した結果を発表した。それによると,2005年の違法コピー率は前年からほぼ横ばいの35%だった。損害額は前年より16億ドル増加して,340億ドルに達した。しかし,中国,ロシア,インド,などの新興市場では違法コピー率がやや減少するなど,明るい側面もあったという。

 調査対象国97カ国のうち,前年と比べて違法コピー率が減少したのは51カ国,増加したのは19カ国だった。しかし,ソフトウエア市場では,米国や西欧,日本を含む一部のアジア諸国が優勢で,これらの国々における違法コピー率がほとんど変化しなかったため,世界全体の違法コピー率は横ばいとなった。

 一方,ロシアと中国は前年比4ポイント減,インドは同2ポイント減だった。「中国でパソコンの普及率が急拡大していることを考えると,同国で違法コピー率が2年連続で減少したのは朗報だ」(BSA議長兼CEOのRobert Holleyman氏)

 中東/アフリカでは26カ国のうち19カ国で,中欧/東欧では18カ国のうち15カ国で,違法コピー率が前年より減少した。とりわけウクライナの減少が目立ち,前年比6ポイント減の85%だった。またモロッコも同4ポイント減となった。

 違法コピーによる損害額を国別にみると,米国がトップで69億ドル(違法コピー率は21%)。「ソフトウエア市場が発達している国では,違法コピー率が低くても損害が高額にのぼる」(BSA)。中国の39億ドル(違法コピー率は86%)とフランスの32億ドル(同47%)がそれに続く。

 違法コピー率が最も高い国は,ワースト1がベトナムとジンバブエ(いずれも90%)。インドネシア(87%),中国とパキスタン(いずれも86%)が続く。違法コピー率が最も低い国は,米国(21%),ニュージーランド(23%),オーストリアとフィンランド(いずれも26%)だった。

 Holleyman氏は,「各国の違法コピー率は,その国における知的財産権保護への取り組み,違法コピーの入手のしやすさ,文化的背景,IT市場の動向など,さまざまな要因の影響を受ける」と説明する。「違法コピーを減らすには継続的な努力と投資が必要だが,コピー率の削減は業界と地域経済に計り知れない恩恵をもたらすことができる」(同氏)

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