コンピュータ・セキュリティ関連の業界団体Cyber Security Industry Alliance(CSIA)は米国時間5月23日,米国のデジタル・インフラに対する国民の信頼度を測定した結果を発表した。CSIAは,「データ・セキュリティに対する政府の対策が不十分なため,継続的な経済的損失として表れている」と指摘している。

 調査の結果,既存の法律でインターネット上における安全が確保できると考えている回答者は5分の1に満たなかった。有権者は,なりすまし犯罪の防止を目的とする米国の新しいデータ・セキュリティ法案の可決を望んでおり,対象となった有権者の70%は連邦議会が同法案を通過させるべきだと考えている。

 個人情報が盗まれた場合に本人に通知することを義務付ける同法案は,民主党議員の4分の3以上,また共和党議員の3分の2以上が支持を表明している。同法案の通過を望んでいる回答者の46%は,同法案の迅速な可決を支援しない候補者には大きな不安を覚えるとしている。

 CSIA執行ディレクタのPaul Kurtz氏は「過去18ヶ月において注目を浴びた情報窃盗事件により5500万人分を超える個人情報が流出している。一方で,連邦議会ではデータ・セキュリティ法案をめぐって1年以上議論を続けているため,国民のデータ・セキュリティ問題に対する関心が高まっている」と説明。「消費者は,プライバシとデータ・セキュリティの関連性を理解し始めており,政府に対してより積極的にリーダーシップを示すように求めている」(同氏)

 CSIAは,米国人の情報インフラに対する信用度を測定した「Digital Confidence Index(DCI)」も発表している。金融,健康データ,電気通信,インターネット,消費者データ,電力供給網の6分野に関して調査したところ,米国人の DCIは100ポイント中57ポイントだった。前年11月の調査結果から1ポイント下がっている。

 調査の結果,回答者の94%が個人情報の盗難が深刻な問題だと考えていることが分かった。オンライン・ショッピングを利用する際に個人情報が安全だと感じている回答者は44%。50%は個人情報の盗難を恐れてオンライン・ショッピングを利用しないとしている。

 「大半の企業は,デジタル・ネットワークを利用した成長を見込んでいる。そのため,信頼できるデジタル環境を構築できなかった場合,電子商取引だけでなくすべての企業に影響がある。連邦議会は,オンライン上における国民の安全を確保するためにデータ・セキュリティ法案の可決に向けて前進すべきである」(同氏)

 調査は2006年4月,米Pineda Consultingが1150人の成人を対象に実施した。

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