米Microsoftは5月23日,米国シアトルで開催されている「WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference) 2006」で,今後出荷が予定されている製品のベータ2版を提供開始したと発表した。

 提供が始まったのは,Windows Vista,Windows Server Longhorn(開発コード名),2007 Microsoft Office Systemといった主要製品に加えて,Windows Vista Upgrade Advisor,Application Compatibility Toolkit 5.0といった周辺ツール類。企業内でクライアントにWindows Vistaを展開(配布)するためのツールであるBusiness Desktop Deployment Solution 3.0も,2006年6月にベータ版を公開予定だ。

 Windows Vistaベータ2の配布対象は,Microsoftの開発者向け会員サービスのMSDN,およびシステム管理者向け会員サービスのTechNetの各会員と,MicrosoftのTechnology Adoption ProgramとTechBetaに参加しているユーザー。Microsoftはさらに配布対象を拡大する予定で,今後数週間以内にWindows Vista Customer Preview Programを通じて広く配布する。Windows Vistaのビジネス向け製品の出荷は2006年11月,個人ユーザー向けは2007年1月の予定である。

 Windows Vista Upgrade Advisorは,中小企業および個人ユーザー向けのツール。現在利用中のシステムがWindows Vistaで動作するかどうかを,ハードウエア,デバイス,ドライバ,アプリケーション・ソフトのそれぞれについてテストする。

 一方のApplication Compatibility Toolkit 5.0は,既存のアプリケーションをWindows Vistaで動作させるために必要な細かい修正やチューニングを,アプリケーションごとに行うツール。バージョン5.0では新たに,(1)Program Compatibility Assistant,(2)Online Community Compatibility Exchange,(3)Microsoft Standard User Analyzerと呼ぶツールを追加した。それぞれのツールの特徴は次の通りである。

 (1)Program Compatibility Assistantは,Windows Vistaへのインストールが失敗してしまうWindows XP向けアプリケーションに対して,変更すべき設定項目を提示するツールである。

 (2)Online Community Compatibility Exchangeは,システム管理者がMicrosoftやソフト・メーカーに対して互換性に関するフィードバックを直接送信できるようにするツール。ほかのシステム管理者とこのような互換性情報を共有できる。ソフト・メーカーは,互換性情報を顧客に迅速に提供できるようになるという。

 (3)Microsoft Standard User Analyzerは,アプリケーションのファイル・アクセスやレジストリ・アクセスなどを調べ,その結果をグラフィカルに表示するツール。ソフトウエア開発者やシステム管理者向けで,Administrator権限がなくても正しくアプリケーションを動作させるために利用する。