Windows XPの次期版「Windows Vista」には,「Windows SuperFetch」および「Windows ReadyBoost」と呼ぶ生産性向上機能が実装される。さらに,システムの処理性能を低下させる原因の1つであるディスクのフラグメンテーションを自動的にデフラグする機能も備える。
Windows SuperFetchは,ユーザーが頻繁に利用するアプリケーションをあらかじめメモリーにロードしておくことで,起動時間を短縮する機能。Vistaでは,ユーザーのアプリケーション利用頻度を監視し,それを基にプリロードする。平日によく利用されるアプリケーションと週末によく利用されるアプリケーションを区別する機能も備える。最近のアプリケーションは肥大化する傾向にあり,起動時間の短縮はユーザーの利用環境改善に好影響を及ぼすはずだ。
一方,Windows ReadyBoostは,USB 2.0で接続したフラッシュ・メモリーやSD/コンパクトフラッシュといったストレージ・デバイスを,仮想記憶のキャッシュとして利用する機能である。Windowsは,実メモリー容量以上のメモリー空間を利用する仮想記憶機能を備えている。Windows ReadyBoostは,仮想記憶領域として利用するハードディスクよりも高速なアクセスが可能な,フラッシュ・メモリー・ストレージをキャッシュとして使うことで,システム全体の処理性能を向上させる。
Vistaにはそのための設定項目が追加される。フラッシュ・メモリー・ドライブのプロパティを開くと,「ReadyBoost」タブがある。これがVistaで追加された画面で,ここでWindows ReadyBoostのために利用する容量を予約する。仮想記憶のためのスワップ領域の容量を予約するのと似ているが,設定画面は「システムのプロパティ」ではなく,各フラッシュ・メモリー・ドライブのプロパティに用意されている。
ただし,容量の小さいドライブや,アクセス速度の遅いドライブでは警告が表示され,ReadyBoost用のキャッシュとして利用できない(図1,2)。フラッシュ・メモリー・ドライブが接続されると,Vistaは自動的にアクセス速度のテストを実施する。USB 1.1接続のフラッシュ・メモリー・ドライブの場合は,ドライブのプロパティに「ReadyBoost」タブすら表示されない。
さらにVistaは,ディスクの自動デフラグ機能を備えた。Windowsを長期間利用していると,システム全体の処理性能が徐々に遅くなってしまうという経験をしたユーザーは多いはずだ。この原因の1つがディスクのフラグメンテーション。Vistaでは,PCがアイドル状態の時に,自動的にバックグラウンドでデフラグを実行する。