米Viacomのケーブル・ネットワーク事業部門MTV Networksは米国時間5月17日,米MicrosoftのWindows XP向けメディア・プレーヤの最新版「Windows Media Player(WMP)11」と連携するサービス「URGE」(いずれもベータ版)を開始した。WMPとURGEを組み合わせると,AppleがiTMSとiTunesで実現しているものに対抗する総合的な音楽環境が利用可能となる。Microsoft陣営の課題は,「iPod」に対抗できるが核を生み出すことだろう。

 MTVは「Appleを追い出すためにURGEを作ったわけではない」と述べる。MTVとしては単に,インターネット事業を拡大し,ユーザーに新しいワクワクするような方法でサービスを提供したいだけだとしている。MTVで最高デジタル責任者(CDO)を務めるJason Hirschhorn氏は「Appleや(米RealNetworksのオンライン音楽配信サービス)『Rhapsody』を打ち負かすつもりなどない」と話している。「URGEの重要な特徴は,編集作業で強力なコンテンツを大量に生み出せることにある。これによって,ユーザーは新しい音楽を見つけられる。URGEでは,様々なジャンルの番組を作っているMTVから音楽専門家の協力を得た」(Hirschhorn氏)。

 URGEは音楽を18ジャンルに分け,さらにそれを400種類に分類している。「All Access」プラン(年額99~149ドル)のいずれかを契約すると,スタッフが手作業で作った500種類以上のプレイリストを入手できる。好みに合わせて自動的にプレイリストを作る機能も利用可能だ。「『Coldplay』が好きなら,Coldplayだけでなく,Coldplayと似た20人/組のアーチストにもアクセスできる」(Hirschhorn氏)。さらにURGEは,130局以上のインターネット・ラジオ・ストリーミング放送と,MTV系列のMTV,VH1,CMTからビデオ・コンテンツを提供する。

 そのほかの興味深い機能として,WMP 11との密接な連携が挙げられる。URGEはWMP 11のブラウザ機能を使い,200万曲以上の楽曲がハードディスクにあるかのように閲覧,検索できる。ユーザーはURGEとパソコンのあいだで楽曲をドラッグ&ドロップし,1つのプレイリストに両方の楽曲を混ぜられる。

 iPodについて,MTVは「Appleは数千万台のiPodを販売したが,デジタル・メディア・プレーヤ市場はまだまだ初期段階にある」と指摘する。さらにシンガポールCreative Technology,韓国iRiver,韓国Samsung Electronicsの計画している新型プレーヤは,Microsoftが開発に協力したためWMP 11との親和性が高い。そのうえWMP 11とURGEは,次世代のWindows Mobile対応携帯電話機と互換性がある。この種の携帯電話機は,多くが携帯音楽プレーヤとして利用されるようになるだろう。これまでのところ,iTunesに対応しているのは米Motorolaが出した1機種だけで,成功してはいない。当初URGEの対象は米国だけだが,近いうちに国際版もスタートする予定だ。