ドイツのSAPは,オンデマンド方式と社内インストール方式の利用に対応した「ハイブリッド」のCRMスイート「SAP CRM 2006」を2006年夏に顧客向けにリリースする。同社が米国時間5月17日に,米フロリダ州で開催している国際会議「SAPPHIRE '06」で発表した。

 SAP社は,2007年に,すべてのCRM関連製品のハイブリッド・モデル移行を完了する計画で,SAP CRM 2006はその第1弾となる。

 同社はまた,1億2500万ドルの基金設立と,米Frictionless Commerceの買収について明らかにした。

 新たな基金「SAP NetWeaver Fund」は,NetWeaverをベースにしたサービス指向アーキテクチャ(SOA)対応製品に取り組む企業に焦点を当てる。同社のベンチャ事業SAP Venturesを補完するものとなり,SAP Venturesでは主に急成長が見込まれる新技術に投資する。米メディアの報道(InfoWorld)によれば,SAP社はSAP NetWeaver Fundを通じて投資した企業をいずれ買収し,自社の技術能力を拡充したい考えである。

 米Frictionless Commerceはサプライヤ関係管理(SRM)ソフトウエア開発を手がける未公開企業。サチューセッツ州に本社を置き,授業員は約70人。銀行,保険,消費者用品,生命科学,電気通信,公益事業といった業界の中~大企業に,オンデマンドのWeb対応サプライヤ管理製品などを提供している。買収取引は2006年7月に完了する見込みで,買収金額などの条件は明らかにしていない。

 そのほか,同社は新部門の開設や提携などについて発表した。主な内容は以下の通り。

・企業のガバナンス,リスク管理,法令遵守を支援するGovernance, Risk and Compliance Management(GRC)部門を設立

・企業の法令遵守支援で,米Sun Microsystemsと提携。Sun社の「Java(TM) System Identity Management Suite」と,SAP社が買収した米Virsaの「Virsa Access Enforcer」を組み合わせる

・中小企業向け販売拡大を目指し,「mySAP All-in-One」製品の再販で米IBMと提携

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