米Sun Microsystemsは米国時間5月16日,2006 JavaOne Conferenceのジェネラル・セッションで今後のJava SE,Java EEのロードマップを発表した。
Java SEについては,今年10月にリリース予定のJava SE 6(開発コード名はMustang)を中心に紹介。具体的には,Java SE 6の主な強化点として,(1)スクリプト言語のサポートの強化,(2)デスクトップ環境の拡張,(3)Windows Vistaのサポート,(4)Webサービスの.NET環境との相互運用のサポート,などを取り上げた。(1)ではスクリプト言語用の新しいフレームワークを搭載し,(2)ではルック・アンド・フィールとパフォーマンスの向上,APIの拡張などを実施するという。
一方Java EEについては,今回のJavaOneで正式に発表したJava EE 5の紹介が中心となった。特に,Annotationを使用することで開発がいかに楽になるかを強調。WebサービスやJava Persistence APIのデモを通してその有効性を力説した。
加えて,アプリケーションのアーカイブ形式においても,Deployment Descriptor(配置情報を記述するXMLファイル)が多くの場面で不要になるなど,EoD(Ease of Development)の流れが着実に浸透していることを示した。Java EE 5のさらに先の話として,JBI(Java Business Integration)やSCA(Service Component Architecture)をベースとしたComposite,動的言語のサポートなどについても言及した。
このほか,Java SE 7(開発コード名はDolphin)以降で取り入れられる機能も一部紹介した。目玉となるのは,XMLをJavaのコード中に記述できるようにするための言語仕様の拡張,Javaアプリケーションの新しいパッケージング方式であるJava Module System,BeanShellなどの動的言語のサポート,といった機能である。Visual BasicプログラムをJavaから呼び出すデモも実施した。
JavaScriptなどの動的言語のサポートが,Java SE,Java EEの両方で言及された点は注目に値する。Javaはもはや一つの言語というくくりを越えて,プログラム開発のプラットフォームへと向かっていると言える。アプリケーション開発において,開発言語をより柔軟に選択できるようになる日は確実に近づいている。
また全体的にサプライズが少なく,既に知っていることが多かったのも今回のセッションの特徴だった。少し残念な一方,この点はJavaの仕様が決定されるプロセスがオープンであることの証とも言えるだろう。