米Microsoftは5月第2週に開催した開発者向け会議「Mobile&Embedded DevCon」(ネバダ州ラスベガス)で,組み込みおよびモバイル機器向けOSの最新バージョン「Windows CE 6」のベータ版を披露した。Windows CE 6は従来版に対する後方互換性を維持しつつ,複数の新機能を採用した。Microsoftでは,2006年終わりごろに最終版を出荷できるとみている。

 Microsoft副社長のSuzan DelBene氏はMobile&Embedded DevConで,「Windows CEの10周年を祝うに当たり,世界中で高機能な通信機器の普及を加速するWindows CE新バージョンを出せてとてもうれしい」と述べた。「当社は再び,製品開発を迅速化し,製品とサービスの差別化に役立つ新しい技術とツールを開発者に提供する」(DelBene氏)。

 Microsoftは新設計のカーネルでWindows CE 6を完全に構築し直し,最大3万2000個のプロセスを同時に実行可能とした。同時に32個しかプロセスを動かせなかった従来バージョンに比べると,大幅な増加である。Microsoftによると,プロセスはそれぞれ2Gバイトある専用のアドレス空間を使う。こうした変更や,Windows CE 6アプリケーション開発用の「Visual Studio 2005」プラグインを開発者に提供することで,セットトップ・ボックス,GPS機能付き携帯電話機,PDAのほか,ファクトリー・オートメーション(FA)機器といった特定用途向け機器などの次世代組み込み/モバイル機器用として,Windows CE 6の価値はさらに高まる。

 Windows CE 6は,MicrosoftのスマートフォンおよびPDA向けOS「Windows Mobile 6」(開発コード名は「Crossbow」)の基本モジュールである。Windows Mobile 6は2006年遅くに登場する。さらにWindows Mobile 6の将来版である「Photon」(開発コード名)は,2007年終わりのリリース予定だ。