米Infonetics Researchが,北米におけるVPNハードウエア/ソフトウエアの導入状況に関する調査結果を米国時間5月8日に発表した。それによると,VPNの方式としてSSLを利用しているユーザーの割合は21%で,Infoneticsは2008年3月にこの割合が3分の1を超えると予想する。SSL VPNを導入しているユーザーの80%は,「セキュリティが向上するからSSLを選んだ」と回答した。

 InfoneticsのVPN&セキュリティ担当主任アナリストのJeff Wilson氏は「SSLを使うと,ユーザー・アクセス許可の設定対象を特定のアプリケーションとデータに絞り,アプリケーション層でアクセス制御できるため,(従来の代表的なVPN方式である)IPSecよりものセキュリティを高められる」と説明する。「SSLは,ほかのアクセス手段が使用不可能になった際の災害復旧手段として迅速かつ簡単に設定できるため,ネットワークの停止時間短縮にもつながる。IPSec方式のリモート・アクセスシステムを完全に置き換え可能なSSLが登場しており,IT部門の多くは,現在IPSecで運用中の処理をSSLで実現できることを知っている」(Wilson氏)。

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・VPN導入の優先課題がセキュリティであることに変化はなく,回答者の92%がセキュリティ確保用の“障壁”としてVPNを評価した

・VPN製品の機能として,VoIP対応を重視する回答が増えた。VoIPを導入する組織が増えるにつれ,VPNとの整合性問題が目に付くようになった

・調査対象としたすべての規模および分野の組織で,VPNとしてVPN/ファイアウオール・アプライアンスを利用する例が最も多かった。以下,ルーター系製品が続いた

・ベンダー別の評価では,米Cisco Systemsが価格の評価項目で2位になったほかは,全項目で評価1位を獲得した。価格の1位は米SonicWALLで,価格性能比では2位だった

・教育分野と小売分野の回答者のあいだに,価格を重視する意見が多かった

 なお米メディア(internetnews.com)によると,同じ調査結果でIPSecの利用率は約60%あってSSLを大きく引き離しているが,Infoneticsは出荷/導入数ベースで2007年末までにSSLがIPSecを上回ると予測したという。

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