米Yankee Groupは米国時間5月8日,Windows用セキュリティ製品市場に関する調査結果を発表した。それによると,2007年第1四半期にリリース予定の「Windows Vista」により,36億ドル規模の同市場に大幅な再編が起こるという。

 約5年ぶりのメジャー・アップデートとなるWindows Vistaでは,セキュリティ機能を大きく改善しているため,サード・パーティのアンチスパイウエアやデスクトップ用ファイアウオールの需要が大幅に落ち込む見通しだ。一方,企業向けアンチウイルス分野はまったくあるいはほとんど影響を受けないものの,Microsoft社がアンチウイルス機能を投入すれば,サード・パーティ製品のシェアはわずかに縮小するだろう。

 また,ディスク暗号化,デバイス制御,特定のホスト侵入防止システム(HIPS)などのサード・パーティ製ソフトウエアに対するニーズもやや減少する。ただし,これは「Windows Vistaの新たなセキュリティ機能がユーザーやISVを納得させるほど優れている場合のことだ」とYankee Group社セキュリティ・ソリューション/サービス部門プログラム・マネージャのAndrew Jaquith氏は述べる。「Windowsのセキュリティ問題は今後も発生し続けるだろう。つまり,大きなサード・パーティ製品市場が常に存在するということだ」(同氏)。

 Yankee Group社によると,Microsoft社はWindows Vistaのデスクトップへの導入台数を,発売後2年間で4億台と見積もっている。しかし,アップデートに費用がかかるほか,セキュリティ機能に料金を支払わなければならないことから,実際の導入速度はこれより遅くなるとYankee Group社は予測する。またJaquith氏は,Windows Vistaのセキュリティ強化が裏目に出て,従来ではエンド・ユーザーが簡単に処理できた作業でも管理者承認が必要になるなどの不都合が生じるといった問題点を指摘している(米メディア)。

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