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ハードディスクはこうして作られる--シーゲイトのHDD工場レポート

染原 睦美=日経パソコン 2006/05/02 日経パソコン
<b>【写真1】</b>ウッドランズのメディア工場。工場というより立派なオフィスビルだ
<b>【写真1】</b>ウッドランズのメディア工場。工場というより立派なオフィスビルだ
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 ハードディスク(HDD)製造大手の米シーゲイト・テクノロジー(以下、シーゲイト)はシンガポールにアジア最大級の生産開発拠点を持つ。シンガポールにはHDDのメディアを作るウッドランズ(写真1)、HDD自体を組み立てるAMK、開発研究拠点のサイエンスパークと3つの拠点がある。HDDは主にウッドランズとAMKの2つの工場で製造する。HDDのプリント基板だけはシンガポールと国境を接するマレーシアからAMKに運ばれて組み込まれる。ヘッド、ディスク(磁気記録メディア)、プリント基板などのほとんどの部品をシーゲイトが自社で製造している。AMKの工場内部におけるHDDの製造工程を追いながら、HDDがどのように作られるかをレポートする。

東から西へ流れていくHDD

 AMKでは、1インチ、2.5インチ、3.5インチのHDDの組み立てが行われる。工場を見学して最初に驚くのは工場内における人員の少なさ。今や「100%に近い部分で全自動化がなされている」(シーゲイト)ためだ。シーゲイトは工場内の自動化を徹底的に進めている。

 東西に長く設計された建物では、東から部品が投入され、西から完成品が出て行く流れになっている。見学する我々も、この流れに沿うように案内された。

 最初はメディアやヘッドなどをダイキャストと呼ばれる「HDDの箱」に組み込む工程だ。この工程はクラス100と呼ばれるクリーンルームで行われる。クラス100は1立方フィートの中に0.5ミクロン以上の粒子数が100個以下になるよう管理されているレベル。さすがにこの中には入れてもらえず、写真2のような服装で、ガラス越しに見学した(写真3)。

【写真2】クリーンルームには入らないものの、このような格好をさせられる
【写真3】ガラス越しに組み込み工程を見学。製造ラインは8本、1本に平均4人が配置される

 元々はダイキャストにモーターを取り付ける作業があったが、現在は「モーターベーストアセンブリ」と呼ばれる初めからモーターがダイキャストに固定されている状態で搬入されるものも多いという。見学中にもそのようなダイキャストが多く見受けられた(写真4)。そのダイキャストに一つひとつの部品をこれも全自動で取り付けていく。上に赤、黄、緑のランプがあり、何かエラーが起こると赤く点灯し、作業員が駆けつけてリセットや修正をする。これらの訂正作業とダイキャストなどをセッティングするなどの場合にしか人手は必要ない。この組み込み工程は8ラインあり、1ラインにつき平均4人ほどの作業員が配置されているという。

【写真4】手前に積まれているのがダイキャストのケース。天井近くに見える信号機のようなランプでエラーなどを認識する

1本の逆送するラインは何のため?

 そうして組み立てられたHDDはクリーンルームを出る(写真5)。その後、制御基板を自動で装着(写真6)。テスト過程へ入る。

【写真5】手前が「東から西へ」入ってくるライン。奥が「西から東へ」戻るエラー専用ライン 【写真6】制御基板を装着する機械

 テストには「Gemini Test Systems」と呼ばれる装置を使う(写真7)。これも自動化されている。テストではメディアとヘッドの適正化、温度を50度まで上げての検査などを行う。容量が40GBほどのHDDなら約8時間、500GBほどのものになると6日間ほどかけてテストをするという。

【写真7】Gemini Test Systems。高温下でのテストなどが行われる

 Gemini Test Systemsの中身は巨大な「下駄箱」のようになっており、その中を長いアームが縦横無尽に動き回る。アームはラインから抜き出したHDDをアームの先端の円盤部分に載せ、「下駄箱」へ運ぶ。さらに、テストが終わったHDDを取り出し、それを今度はラインに戻す(写真8、9)。この繰り返しだ。

【写真8】ラインからHDDを抜き出して設置する 【写真9】戻ってきた「アーム」先端の円盤部分にラインから抜き出されたHDDを載せ、「巨大下駄箱」へ運び出す

 従来のテスト装置は100台前後しか入らない上、手動だった(写真10)。5年ほど前から導入したGemini Test Systemsにより自動化を実現。従来のシステムだと、トレイごとにHDDを入れ替える必要があったが、現在のGemini Test Systemsは1つずつ入れられる。そのため、大きさや容量の違いがあっても一つひとつに合わせたプログラムを実行できるようになった。

【写真10】従来のテスト機。ドアを開け、手作業でトレイ単位でHDDを入れなくてはならず、手間がかかるという 【写真11】エラーが発見されたHDDを分解する作業員。これは全自動ではなく、手作業

 このテストが終了して、エラーが出た場合はどうなるか。ここからの流れが面白い。工場内には「逆送」するラインが1本存在する(写真5)。エラー専用ラインだ。このラインはエラーと認められたHDDが乗せられ、起点となる「東」の方へ戻る方向に設置されている。これらのラインに乗って戻っていく過程で、ここは手作業で部品をバラバラにする(写真11)。バラバラにした部品は、同社の工場がある中国へ「強制送還」し、再生可能な部品は再生利用するという。シンガポールで再生作業はしない。

 結構な量のHDDが「逆送ライン」に乗せられているように感じられ、エラー率を聞いてみたがそれは多くの工場がそうであるように、非公開。ただ多く見えるのは「ある程度のロットをためこんでから一気に流していること」と「基幹工場であるため絶対数が多い」からということらしい。

 シーゲイトでは「共有化」も一つのキーワードにしているという。ねじ1本に始まり、使われているチップの回路、ヘッドやディスクのスパッタリングなどを3.5インチHDDと2.5インチHDDで共有することでコスト削減を図っている。工場のラインも同じ。HDDの大きさやインタフェースなどが違っても同じラインに載せられる体制を整えている(写真12)。

【写真12】シリアルATA(右)とパラレルATA(左)が同じラインで流されている。大きさの異なるHDDも同じラインで流せるという

 こうして組み立てられたHDDは一つひとつこん包され(写真13)、段ボールに詰め込まれて(写真14)、「西から」工場を出て行く。

【写真13】一つひとつこん包された2.5インチHDD 【写真14】段ボールへのパッキングも機械を使って自動で進む


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