米下院議会における通信改革法案の投票を控え,メディア団体,消費者,インターネット・グループなどが集まり,フリーでオープンなインターネットを守るための組織「SavetheInternet.com Coalition」を結成した。同団体が米国時間4月24日に発表した。

 同組織は,「ネットの中立性」を脅かす米AT&Tや米Verizonといった大手インターネット・プロバイダの法案通過運動に対抗するために,世論の圧力の形成を目指すもの。Webサイト上から地元選出の議員に電子メールで請願書を送るページを用意している。

 米連邦議会が取り組んでいる改訂法案「Communications Opportunity, Promotion, and Enhancement Act of 2006」は,1996年に制定された電気通信法を大幅に変更するもの。SavetheInternet.com Coalitionによれば,同法案にはネットの中立性に対する有意義な保護が盛り込まれていないという。下院議会エネルギー商業委員会は,同法案に対する投票を近々開始する予定となっている。

 キャンペーン・ディレクタであるFree PressのTimothy Karr氏は「インターネットの中立性は,米国憲法修正第1項『言論の自由』に相当する。大企業のWebサイトと同じくらい簡単に小さなブログを読めることを保証するものである」と説明。「インターネットが経済革新,民主的な参加,オンラインの言論の自由を促進してきた要因はネットの中立性にある」とコメントしている。

 同組織には,幅広い分野からメンバーが集まっている。設立メンバーには,スタンフォード大学のLarry Lessig氏,コロンビア大学のTim Wu氏,独立系ニュース・メディアのFree Press,米銃所有者協会「Gun Owners of America(GOA)」,米消費者連合「Consumer Federation of America」,技術と知的資産の権利擁護団体「Public Knowledge」,米図書館協会「American Library Association」,米公益研究グループ(U.S. PIRG)などが名を連ねている。

 Public Knowledge会長のGigi Sohn氏は「我々が利用してきた自由でオープン,そして革新的なインターネットの将来は保証されていない。法案が通り,電話会社やケーブル事業者にインターネットのコントロールが委ねられた場合,これまでのインターネットは存在しなくなり,取り戻すこともほぼ不可能となるだろう」とコメントしている。

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