ジャーナリストで構成される言論の自由の擁護団体「Reporters Without Borders(RWB)」は中国時間4月19日,中国政府による反体制活動家を弾圧する行為に米Yahoo!が関与していると報道した。RWBは,民主主義擁護の記事をオンライン公開したとしてJiang Lijun氏が2003年11月に4年間の懲役を言い渡された裁判の判決文のコピーを入手したと発表。判決文には,Yahoo!社が,中国の警察当局に同氏の逮捕につながる情報を提供したことが示されているという。

 RWBでは,これまでにもジャーナリストShi Tao氏とインターネット活動家Li Zhi氏の2件の逮捕に関してもYahoo!社が情報を提供していたと報道している。

 判決文によれば,Yahoo!社の香港法人であるYahoo! Holdingsは,問題とされていた電子メール・アカウントがJiang Lijun氏ともう1人の民主化運動の活動家であるLi Yibing氏によって共同で使われていたことを証明する情報を提供している。アクセス・コードに関してはLi氏が警察に情報を提供した可能性もあると,RWBは認めている。

 RWBは,「われわれが擁護してきた多くの人の逮捕に関してYahoo!社が関与しているのではないかと疑ってきたが,徐々にその証拠が集まってきた」とコメントしている。

 判決文では,Jiang Lijun氏が中国の社会体制に批判的な態度を示しており,インターネットを含むさまざまな手段を通じて「いわゆる欧米流の民主主義」を促進したと記されている。同氏は政党の立ち上げを計画しており,中国共産党第16回大会を混乱させる目的で警察に偽の爆破予告の電話を掛けると発言していたという。同氏はこれらの容疑を否認している。RWBは2006年4月7日,米カリフォルニア州サンノゼのYahoo!社の本社を訪れ,ジャーナリストと民主主義者の弾圧に加担することがないように,中国に設置した同社のメール・サーバーの移動を求めている。