米OracleのCEOであるLarry Ellison氏は自前のOSを持っていないことに着目し,4月第4週に「Linuxベンダーの米Novell買収を検討する」と発言した。現在Oracleのサーバー・ソフトウエアは,多様なOS上で動く。しかし,Oracleにとって最大のLinux OSパートナである米Red Hatと米IBMも,ミドルウエア市場ではOracleと競合している。

 Ellison氏は「当社には残念ながらOSがない」と述べる。「当社は,Linuxのディストリビューションやサポートで大きな成果を挙げているかもしれない。ところが,私は完全なパッケージを提供したいのだ」(同氏)。さらにEllison氏は,「Novellの買収を2年前から考えていた」と付け加えた。

 LinuxベンダーのRed Hatは,4月第3週に米JBossを3億5000万ドルで買収した(関連記事)。JBossは,Javaベース・ミドルウエアの大手メーカーで,Linux上で動くアプリケーション・サーバーを提供している。この買収でRed Hatは,ほかの分野では協力関係にあるにもかかわらず,(競合相手として)Oracleに狙いを定めた。

 当然「Oracleによるこうした買収はメリットになるのか」という疑問が浮かぶ。活発なEllison氏にしては最近の動きは穏やかだが,脇役に食われたり裏をかかれたりしたことは,これまで一度としてなかった。しかしNovellの買収は,現在Oracleが対応しているよりもはるかに幅広いシステムへの対応が必要になるなど,手痛い過ちになりかねない。また,かつてソフトウエア業界の大物だったNovellの買収には,10億ドルという巨額の資金が必要になるだろう。