オンライン詐欺の防止を目指す小売業者の団体Merchant Risk Council(MRC)は,オンライン小売業者に実施した調査の結果を米国時間4月19日に発表した。それによると,オンラインの詐欺行為の割合は,従来型の実店舗における不正行為の割合に近づいていることが明らかになった。また,詐欺行為が急増しており,その手段が巧妙になっているという。

 実店舗におけるクレジット・カードによる不渡りの割合は通常売上高の0.1%未満に納まっている。調査の対象となったオンライン小売業者の48%はこの統計に一致すると回答している。カードによる詐欺が通常の5倍以上だった前年から大幅に改善している。

 MRCの共同会長であるJulie Fergerson氏は,「数値では好ましい傾向がみられるが,オンライン小売業者は引き続き警戒する必要がある。詐欺防止ツールは,普及するにつれて効果は薄れるものである。詐欺師は常にこのシステムを出し抜く手段を捜し求めている」とコメントしている。同氏によれば,MRCでは多数のメンバーがこの事実を理解しており,76%がツール導入後も調査スタッフの数を維持または増やしているという。

 詐欺防止ツールに関しては,2001年に実施した調査結果と比較すると,住所データを照合する住所確認システムの導入は70%から83%に増加している。しかし,効果は70%から25%に低下しているという。また,カード確認コードの導入も同期間において38%から73%まで拡大しているが,効果は49%から31%まで落ちている。

 MRCは,対抗策として小売業者が独自の数的指標を設定し,定期的に経営幹部に報告すべきだと指摘している。また,住所確認システムやカード確認コードといったさまざまな詐欺防止ツールとともに,新しい対策技術を導入することを勧めている。

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