米In-Statは米国時間4月3日,位置追跡のアプリケーションにおけるWi-Fi技術の導入が拡大し,2010年までにWi-Fiタグの出荷個数がおよそ200万個に達するという予想を明らかにした。同社によれば,Wi-Fiベースのロケーション・トラッキング市場は初期段階にあり,今後数年の成長速度を決定する多数の要因があるという。

 Wi-Fiタグは,リアルタイム位置特定システム(RTLS:Real Time Location System)で利用される。RTLSでは,Wi-Fiアクセス・ポイントを使ってWi-FiタグやWi-Fi対応デバイスの位置を確認する。

 同社アナリストのGemma Tedesco氏は,Wi-Fi技術を利用するRTLSの利点として,スタンドアロンのロケーション・リーダー装置を導入することなく既存の標準Wi-Fiインフラを利用できること,またWi-Fiタグとともにノート・パソコン,携帯電話などWi-Fi技術を組み込んだどのようなデバイスの位置も追跡できることを挙げている。同氏によれば,Wi-FiベースのRTLSは医療の分野において利用が進んでいる。医療現場には,患者のモニター装置や車椅子などの追跡すべき価値のある資産が多数存在するため,Wi-Fiインフラの配備が進んでいるという。

 同調査では,Wi-Fiタグに関連するベンダーの動向も紹介している。米Ekahau,米PanGo Networks,米AeroScoutなどではIEEE 802.11bを利用する純粋なWi-FiベースのRTLSを提供している。米WhereNetなどのように,ANSI 371.1を利用したより複雑なRTLSシステムを提供するベンダーもある。Wi-Fiタグの単価は現在およそ60ドルだが,米G2 Microsystemsなどでは,タグにより多くの機能を搭載するとともに価格を下げることを約束している。In-Stat社では,価格低下により同市場は促進されると予測している。

 また,米Cisco Systemsは,位置追跡をデータや音声のようにWi-Fiインフラでサポートする価値のあるアプリケーションの1つとしてを捉えており,Wi-FiベースのRTLSを提供する複数のベンダーと提携を進めている。また,米Trapeze Networksや米Aruba Wireless Networksも同市場への取り組みを開始している。

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