米QUALCOMMは,携帯電話向けチップの製造に関する特許が侵害されたとして米Broadcomを米カリフォルニア州サンディエゴの連邦地方裁判所に提訴した。同社が米国時間3月29日に明らかにした。同社がBroadcom社に対して起こした3件目の特許侵害訴訟となる。

 訴状では,Broadcom社がWCDMAベースバンドIC製品とこれらの製品に搭載するマルチメディア機能の開発と製造に関する機密事項を不正に流用し,競合製品となるWCDMAチップセットを販売したと主張している。また,Broadcom社はQUALCOMM社が保有する米国特許6,717,908番を侵害したWCDMAと無線LANチップセットの製造と販売を行なっているとして,特許技術を利用した製品の製造差し止めおよび損害賠償を求めている。

 両社の争いは,前年5月にBroadcom社が同社の特許が侵害されたとしてQUALCOMM社を提訴してから始まった。最初の訴訟では,有線/無線通信技術とマルチメディア処理技術を問題としていた。7月には,携帯電話向け技術やLSIの販売活動などで米国の独占禁止法に違反したとして,ふたたびQUALCOMM社を提訴している。その直後,QUALCOMM社は,GSM/EDGEチップとWi-Fi半導体に関連する特許が侵害されたとしてBroadcom社を反訴した。また,10月には,画像圧縮技術とビデオ・エンコーディング/デコーディングに関する特許技術を侵害しているとしてBroadcom社に対する2件目の訴訟を起こしている。

 Broadcom社は国内の訴訟以外に,米国際貿易委員会(ITC)に対しても「QUALCOMM社が特許を侵害するICやその他製品を輸入するという不公正な貿易を行った」と訴え,ITCに調査の実行と,該当製品の輸入禁止命令および販売禁止命令の発行を要求した。また,欧州委員会(EC)に対しても,同社が市場において価格競争を抑圧しているとして調査を依頼している。

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