米連邦通信委員会(FCC)は,米Verizon Communicationsが求めていた企業と通信事業者向けブロードバンド・データ・サービスの提供に関する規制緩和を認めた。FCCが米国時間3月21日に発表した。これには,必要条件とされていた価格交渉やFCCへの価格報告などの免除も含まれている。

 Verizon社は2004年12月,FCCに対してインターネット・ベースの仮想プライベート・ネットワークなど企業向けサービスに関する規制の撤廃を求めていた。

 今回の決定により,Verizon社にはFCCが定める競合企業への統制された適切な価格によるアクセス提供の義務が無くなり,全国均一の通信サービス提供を目的とした基金Universal Service Fundへの拠出といった義務も免除される可能性がある。

 FCC会長のKevin Martin氏と委員のDeborah Taylor氏は,「ブロードバンド接続はインターネット・ベースの情報経済の拡張に必要不可欠である。ブロードバンドの普及促進はFCCの最優先事項の1つである。今回の規制緩和により,Verizon社はブロードバンド・サービスとファイバー設備を柔軟に展開できるようになるだろう」とコメントを発表している。

 FCC委員であるMichael Copps氏は今回の決定に対し「Verizon社のブロードバンド・サービスは,米政府の盗聴法,FCCの消費者プライバシ法の規制を受けることなく,ほかのネットワークとの相互接続という条件からも免除される可能性がある」と指摘している。また,同委員会のJonathan Adelstein氏も「今回の決定が,価格上昇を導き,通信サービスの選択肢を狭めるものである」と批判している。

 FCCは,8月に既存の通信事業者に対して競合会社とDSLブロードバンド回線の共有を義務付けていた規制の撤廃を決定している。

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