米Network Solutionsは3月10日,ドメイン名を管理する非営利組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)の理事会に対して,米VeriSignによる「.com」ドメイン管理に関するレジストリ契約案を再考するように,大手レジストラ(ドメイン名登録業者)18社とともに要請書を提出した。Network Solutions社が米国時間3月13日に明らかにしたもの。

 VeriSign社はICANNとの契約のもと,.comなどのトップ・レベル・ドメイン(TLD)を管理している。ICANNの理事会が2月28日にVeriSign社とのレジストリ契約案を認めており(関連記事),米商務省の承認を得る必要があるものの,同社が.comのレジストリ業務を2012年まで継続することがほぼ確定していた。

 Network Solutions社によると,同契約案は.comレジストリの将来的な競争を阻むものであり,VeriSign社は今後6年間にドメイン名使用料を年平均で最高31%引き上げることが可能になるという。

 要請書では,理事会が承認した.comの同契約案が,「広範かつ永続的な悪影響を及ぼす」と指摘し,「ICANNは,.comのドメイン使用料を適正に管理し,適切な規制を設けることを怠った」と述べている。

 同要請書によると,米司法省(DOJ)は同契約案がレジストリ市場における与える影響について調査中である。ICANNの理事会が,重要な情報を検討せずに承認した場合は,再考を要請することが認められているため,理事会はDOJがどのような結論に達するか考慮すべきだと述べている。

 「VeriSign社とのレジストリ契約案が競争に及ぼす悪影響を考慮しないことは,ICANNの重要な基本的価値観に背くばかりか,消費者にも被害をもたらす」(同要請書)。

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