富士写真フイルムの米国法人Fuji Photo Film U.S.A.は,使用済み磁気テープを再利用した再生品データ・ストレージ・メディアに関する調査結果を米国時間3月10日に発表した。それによると,再生品磁気テープは企業の機密データがそのまま残っている場合がある上,動作が不安定なことが多く,これらを売買する企業に重大なリスクを与える可能性があるという。

 調査は,Fuji Photo Film U.S.A.社および米Ovation Data Servicesが共同で実施したもの。市場に出回っている再生品LTOテープ・カートリッジ30本をOvationが分析した。

 これらのカートリッジの一部では,データの読み出しに利用するテープ冒頭部分を初期化しているものの,データそのものはテープ内に残っており,30本中8本に「通常の処理で復旧可能なデータが含まれていた」(同社)。

 使用済みカートリッジのデータを完全に消去するためには,一般的に,強い磁場を利用してデータを一括消去する「消磁」処理を行う。これは初期のDLTtapeなどには有効だが,LTOや3592などの新しいテープ・カートリッジの場合は,数時間をかけてカートリッジ全体のデータの「セキュリティ消去」,つまり完全な上書きが必要となる。しかし「コストに見合わないため,まったく行われていない」(同社)。

 さらに,再生品メディアに関する業界標準が存在しないため,品質および信頼性にも疑問が残る。再販業者の一部がこれらの磁気テープを再包装し,「新品」として廉価販売している点にも注意が必要という。
 
 Fuji Photo Film U.S.A.のRecording Media Division,Marketing担当バイス・プレジデントのRich Gadomski氏は「CIOおよびIT幹部は,処分する磁気テープを中古市場で販売する場合,またはデータ・センターで再生品テープを利用する場合のリスクを認識するべきだ。品質や性能が不安定で使い物にならない磁気テープを購入することになるほか,自社のデータが悪用される可能性がある」と忠告する。
 
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