公開鍵インフラ(PKI)暗号システムの開発を進める組織GnuPG.orgは,暗号化プログラム「GnuPG」に不正な電子署名を見逃す問題があると警告を発した。GnuPG.orgのWerner Koch氏が中央欧州標準時間3月9日,GnuPG関連のメーリング・リストGnupg-announceへの投稿で明らかにしたもの。同氏は,修正版であるGnuPG 1.4.2.2にできるだけ早くアップデートするよう推奨している。

 この問題は,GnuPGが非分離署名を検証する際に,署名対象外のデータまで署名済みと誤判断するというもの。これにより,攻撃者が任意のデータをメッセージに挿入し,あたかも署名されているかのように装うことが可能となる。

 GnuPG 1.4.2.2より以前の全バージョンに問題が存在する。分離署名以外の署名検証処理が影響を受ける。さらに,電子メールでGnuPGを使う場合の標準的な方法である,暗号化メッセージ内に組み込まれた署名の検証時にも,同じ問題が発生する。

 GnuPG 1.4.2.2は,GnuPG.orgのWebサイトから無償でダウンロードできる。GnuPG.orgは,旧版に対する修正パッチを提供しない。

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[Koch氏の投稿]