欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は米Microsoftの技術文書が「いまだECの要件に準拠していない」とする仮判断を下した。ECがMicrosoftに通知書を送ったことを,ベルギーで現地時間3月10日に明らかにした。

 ECは,MicrosoftがEUの独占禁止法に違反したとする2004年3月の裁定に基づき,同社に技術情報の提出を要請した。しかし,同社が提出した技術情報が規定の必要条件を満たしていないとして2005年12月22日,1日当たり最大200万ユーロの罰金を警告する異議声明(Statement of Objections)を送った。これを受けたMicrosoftは12月29日に技術文書の改訂版を提出した。

 遵守状況を監視する評議委員であるNeil Barrett氏は,改訂版技術文書を検討。同氏はECに提出した報告書で「重要なことは何も追加されておらず,内容は依然として不完全かつ不正確であり,使用不可能だ」と述べている。

 また,知的財産の評価を手がける米TAEUSがECに報告した分析では,「(Microsoftの技術文書は)まったくもって不十分。ページ数を最大限に増やすことを主目的とし,有効な情報は最小限にとどめている」と批判した。

 ECは,Barrett氏とTAEUSの報告書をもとに,Microsoftの技術文書が「依然不完全で不正確」との仮判断に至ったとしている。

 なお,3月30日と31日にMicrosoftの要求による口頭審問が行われる予定で,その際にECは同社に対し,12月15日にさかのぼって罰金の支払いを言い渡す可能性があるという。

 ちなみにMicrosoftは2月15日に,「自身を擁護するために適正な手続きを踏む権利を拒否された」との反論書をECに提出(関連記事1)。また,「ECが当社の競合会社と結託している」と非難している(関連記事2)。

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