写真1●Coreアーキテクチャを採用したデュアルコア・プロセッサ<br>ノート用の「Merom」,デスクトップ用の「Conroe」,サーバー用の「Woodcrest」。
写真1●Coreアーキテクチャを採用したデュアルコア・プロセッサ<br>ノート用の「Merom」,デスクトップ用の「Conroe」,サーバー用の「Woodcrest」。
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 米Intelは開発者向け会議「IDF(Intel Developer Forum)」で,同社製プロセッサのマイクロアーキテクチャを,熱効率のよいCoreアーキテクチャに全面移行することを明らかにした。また,Coreアーキテクチャの詳細も明らかにした(関連記事)。

 これまでIntel製のプロセッサは,Pentium以来,マイクロアーキテクチャの世代が新しくなるにつれて1命令実行当たりの発熱量が多くなる傾向にあった。1993年のPentiumでは10強nJ(ナノジュール。ジュールは熱量の単位)/命令だったものが,1995年のPentium Proでは20強nJ/命令,2001年のPentium 4では約40nJ/命令になり,2005のPentiumでは約50nJ/命令に達していた。CoreアーキテクチャはPentium-M(1命令実行当たりの発熱量はPentiumと同等)のマイクロアーキテクチャを基に,Pentium 4並に機能を拡張したもの。Coreアーキテクチャを採用したCore Duoなどのプロセッサは,Pentiumよりも小さい約10nJ/命令だとしている。

 さらにCoreアーキテクチャには,5つの革新的な技術を実装したという。

 1つは,「Intel Wide Dynamic Execution」と呼ぶ実行ユニット。1クロック当たりの命令実行数をより多くする仕組みで,性能と熱効率を高める。具体的には,各コアが14段からなる4つの命令実行ユニットを備える。さらにMicro-fusionとMacro-fusionと呼ぶ,複数の命令をまとめて実行する2種類の機能も備える。Micro-fusionは,μOPと呼ぶx86命令をデコードした内部命令を複数個まとめて実行するもの。そしてMacro-fusionは,複数のx86命令をまとめて実行するものである。

 2つめは,「Intel Advanced Digital Media Boost」と呼ぶ命令実行機能。これは,Pentium III以降のプロセッサが備えるSIMD(Single Instruction Multiple Data)命令を1サイクルで実行する仕組み。SSE/SSE2/SSE3のすべての命令が対象である。

 3つめは,「Intel Advanced Smart Cache」と呼ぶ2次キャッシュ。これは,複数のコアを備えるプロセッサの各コアが,共通の2次キャッシュを効率よく利用する機能である。

 4つめは,「Intel Smart Memory Access」。これは,メモリーのレイテンシを隠すことで,システムの性能を向上させる。具体的には,プリフェッチなどによって,メモリー内に格納した命令/データをより効率よく取り出す仕組みである。

 5つめは,「Intel Intelligent Power Capability」と呼ぶ電力制御機構である。独立したロジックごとに必要なときにだけ動かすことで,電力消費量を抑える。

 例えば,Coreアーキテクチャを採用したデスクトップ向けのデュアルコア・プロセッサ「Conroe」(開発コード名)は,NetBurstアーキテクチャのデュアルコア・プロセッサ「Pentium D 950」と比べて,消費電力は40%小さく,性能は40%高いという。

 また,サーバー向けの「Woodcrest」(開発コード名)は,デュアルコアのXeon(2.8GHz)に比べて,消費電力は35%低く,性能は80%高いという。

 Coreアーキテクチャを採用したノートPC用デュアルコア・プロセッサの「Merom」(開発コード名),デスクトップ向けのConroe,そしてサーバー向けのWoodcrestは,いずれも2006年第3四半期に出荷開始の予定である(図1[拡大表示])。さらに2007年には,4コアの「Clovertown」(開発コード名)も出荷が見込まれている。