米Gartnerは英国時間2月28日,2005年の世界携帯電話市場に関する調査結果を発表した。それによると,携帯電話の世界販売台数は8億1660万台で,前年と比べ21%増加した。上位6ベンダーが市場シェアを拡大し,小規模ベンダーがそのあおりを受けたという。

 大手ベンダーが2005年の販売台数で占める割合は79.4%に達した。第1四半期の78%から第4四半期の84%へと,年間を通して着実にシェアを伸ばしている。

 Gartner社モバイル端末主任アナリストのCarolina Milanesi氏は,「ローエンド機種では価格競争がし烈になり,ハイエンド機種ではデザインや機能で各社がしのぎを削っている。このため市場での生き残りは,経済規模とニッチ市場の獲得にかかっている」と説明する。

 ベンダー別にみると,フィンランドのNokiaが他社を大きく引き離して首位に立った。2004年に不調が続いていたNokia社は,人気機種「6680」,ファッション性の高い「8800」,WCDMA市場向けの「n70」などの投入によって勢いを取り戻し,市場シェア32.5%を獲得した。米Motorolaが大手ベンダーの中では最も市場シェアを伸ばし,2位につけた。ちなみに同社は西欧市場で2位だったが,北米では優勢で,アジア太平洋地域でも韓国に次いで2位だった。3位は韓国のSamsung。しかし同社の市場シェアは12.7%で,前年からほぼ横ばいとなった。Gartner社は,「市場シェアよりもマージンを重視し,価格競争に巻き込まれないようにしているため」と分析する。

 地域別の販売台数をみると,北米は好調な第4四半期などが貢献して1億4840万台。カメラ付き機種やMotorola社の軽量薄型機種「razr V3」などが,成長を後押しした。西欧市場はホリデー・シーズン中のアップグレード需要により1億6400万台。東欧/中東/アフリカ(CEMEA)は新規ユーザーの需要が増加して1億5350万台。中南米は前年比40%増の1億200万台。アジア太平洋地域は,中国やインドの急成長により2億400万台。日本は音楽再生機能付き機種が買い換えを促し,4500万台だった。

 2005年第4四半期の世界販売台数は2億3500万台を超え,Gartner社が2001年に四半期ごとの調査を始めて以来,過去最高を記録した。「携帯電話と利用料金の低価格化が販売増に貢献した。また西欧や北米といった成熟市場では,よりファッション性の高い機種を求める買い換え需要が後押しした」(同氏)。

■ 表1 2005年第4四半期における世界携帯電話販売台数(単位:1000台)

                 2005年Q4   2005年Q4     2004年Q4   2004年Q4
                 販売台数   市場シェア   販売台数   市場シェア
メーカー                      (%)                  (%)
Nokia              82,218.3    35.0      64,387.3    33.0
Motorola           41,884.0    17.8      31,744.3    16.3
Samsung            28,385.4    12.1      23,883.7    12.2
LG                 16,875.0     7.2      13,340.5     6.8
Sony Ericsson      16,118.7     6.9      12,335.8     6.3
BenQMobile         11,101.7     4.7      12,821.0     6.5
その他             38,546.6    16.3      36,807.9    18.9
合計              235,129.7   100.0     195,320.5   100.0

注記:数字には,iDEN規格の製品を含むが,WLL,
ODM,OEM,CDMA WLL製品は含まない。

出典:Gartner Dataquest社(2006年2月)

■ 表2 2005年における世界携帯電話販売台数(単位:1000台)

                 2005年       2005年      2004年     2004年
                 販売台数   市場シェア   販売台数   市場シェア 
メーカー                      (%)                 (%)    
Nokia              265,614.8    32.5    207,231.3    30.7
Motorola           144,920.4    17.7    104,124.2    15.4
Samsung            103,753.6    12.7     85,238.4    12.6
LG                  54,924.6     6.7     42,276.8     6.3
Sony Ericsson       51,773.8     6.3     42,031.7     6.2
Siemens             28,590.6     3.5     48,455.8     7.2
その他             166,985.1    20.6    144,643.7    21.6
合計               816,562.9   100.0    674,001.9   100.0   

注記1:数字には,iDEN規格の製品を含むが,
WLL,ODM,OEM,CDMA WLL)製品は含まない。
注記2:独Siemensは2005年第1四半期~第3四半期の
販売台数に基づいたもの。
第4四半期の販売台数は同社の携帯電話部門を買収先の
台湾BenQの数字に含まれる。

出典:Gartner Dataquest社(2006年2月)

 Milanesi氏は2006年について,次のように予測している。「第1四半期は,中国の旧正月,クリスマスや新年のプロモーションの余韻,新興市場の成長などによって,安定した成長をみせるだろう。しかし地域別の販売台数は季節的パターン通り,前期と比べ5~8%落ち込む見通しである」(同氏)。

 また米メディア(CNET News.com)によると,Gartner社は2006年の販売台数を前年比10~15%増と見込んでいるという。

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