トロイの木馬「Trojan-SMS.J2ME.RedBrowser.a」をインストールさせようとしている画面(Kaspersky Labのサイトより引用)
 ロシアのKaspersky Labが現地時間2月28日に,Java 2 Platform, Micro Edition(J2ME)対応携帯電話機に感染するトロイの木馬「Trojan-SMS.J2ME.RedBrowser.a」について警告を発した。

 このトロイの木馬は,WAP接続を行わずWAPサイトを閲覧できるとの触れ込みのプログラム「RedBrowser」として広まるという。携帯電話機には,WAPサイトからインターネット経由でダウンロードされるか,パソコンからBluetooth経由で転送されるかして感染する。「redbrowser.jar」という5万4482バイトのJARアーカイブに,以下のファイルが入っている。

・FS.class:補助ファイル(2719バイト)
・FW.class:補助ファイル(2664バイト)
・icon.png:グラフィックス・ファイル(3165バイト)
・logo101.png:グラフィックス・ファイル(16829バイト)
・logo128.pnh:グラフィックス・ファイル(27375バイト)
・M.class:インタフェース・ファイル(5339バイト)
・SM.class:トロイの木馬(1945バイト)

 Kaspersky Lab社によると,トロイの木馬の作者は,ショート・メッセージング・サービス(SMS)を使って無料で送受信を行い,WAP接続を伴わないでWAPサイト閲覧を実現すると説明しているという。実際には,1つのSMSメッセージに付き5~6ドルが感染者の負担になるという。感染した場合は,携帯電話機に標準搭載されているユーティリティで簡単に削除できる

 これまでのところ,Kaspersky Lab社が入手したサンプルは1件だけで,Beeline社,MTS社,Megafon社といったロシアの大手モバイル・サービス業者を狙ったものという。「ただしRedBrowserの亜種や同様のプログラムは,インターネットに出回っているかもしれない」(Kaspersky Lab社)

 またモバイル機器のセキュリティ研究者の団体Mobile Antivirus Researchers Association(MARA)は,WindowsパソコンとWindows Mobile Pocket PCモバイル機器の両方に感染するトロイの木馬「crossover」を明らかにした。MARAは匿名の人物から送られてきたとしている。

 crossoverは,両環境に感染できることを技術的に示すためのもので,動きなどを説明したテキスト・ファイルを含んでいるという。それによると,感染する環境は各種パソコン用Windows,Windows CE,Windows Mobile(.NET Compact Framework 1.1付き)。

 活動を開始するとcrossoverはOSの種類を調べ,モバイルOSでなければ自身をコピーし,パソコンが次回起動されたときにも動くよう設定し,モバイル機器が同期されるのを待つ。モバイル機器が接続されると,自身をモバイル機器にコピーし,実行する。モバイルOS上で活動を開始すると,\\My Documents内のファイルをすべて削除し,\\Windowsに自身のコピーを,\\Windows\\startupにそのコピーへのショートカットを作る。

 MARAは詳細な情報をメンバーに無償提供している。

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[発表資料(Kaspersky Lab社)]
[MARAの発表掲載ページ]