米国の非営利調査機関Pew Internet & American Life Projectは,米国における広帯域接続の普及率について調査した結果を発表した。それによると,広帯域接続の普及が進んでいた都市および都市近郊と,遅れをとっていた地方の普及率の差が狭まりつつあるという。

 2003年における広帯域ユーザーの割合は,都市/都市郊外が22%だったのに対して,地方が9%だった。2005年末には,都市/都市郊外が39%で,地方が24%と,その差は格段に狭まっている。

 また地方では,広帯域と狭帯域を合わせたインターネット・ユーザーの割合も増加している。2005年末におけるインターネット・ユーザーの割合は都市/都市郊外が70%,地方が62%となり,両地域の開きは8ポイントまで狭まった。2003年末時点における両地域の開きは,その2倍近くあったという。「地方ではこの2年間,都市や都市郊外とよりも急速に,広帯域ユーザーが増加している」(同社)。

 家庭における広帯域ユーザーの割合は,両地域で開きがあったが,職場では都市/都市郊外が75%,地方が72%とほぼ同レベルだった。両地域における広帯域接続の方法も,DSLとケーブル・モデムの人気が高いという点で一致している。都市/都市郊外ではDSLが47%,ケーブル・モデムが45%で,地方ではDSLが46%,ケーブル・モデムが44%だった。

 同社によると,地方では広帯域接続のためのインフラ構築に費用がかさむため,高速無線接続が解決策になると期待するむきもある。しかし地方の広帯域ユーザーで,固定無線や衛星サービスを利用する人の割合は2002年の1%から,2005年の5%へと,わずかしか伸びていないという。

 同社は,広帯域接続の普及に影響を及ぼす要因として,人口学的な特性を挙げている。例えば,米国では,人口の年齢層が高いのは地方である。高年齢層は他の年齢層に比べインターネット・ユーザーの割合が少なく,ひいては広帯域ユーザーの割合も低い。ちなみに同社によると,人口に対して50歳以上が占める割合は地方が43%,都市/都市郊外が38%である。

 また同社は,両地域における年収と教育レベルの違いも指摘している。年収が3万ドル以下の世帯は,都市/都市郊外では24%だったのに対し,地方は33%。学歴が大卒以上の人が占める割合は都市/都市郊外が29%,地方が18%だった。

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