米連邦取引委員会(FTC)は,世界IT市場における消費者保護の問題について検討する聴聞会を今秋開催する。FTC会長のDeborah Platt Majoras氏が米国時間2月9日に明らかにした。

 同聴聞会では,企業,政府機関,消費者団体,学術機関,法律事務所などの専門家が集まり,消費者保護に効果的な技術開発や統合,市場のグローバル化に焦点を当てるという。

 FTCは1995年にも「インターネットなどの急速な技術進歩にともなうリスクを検証し,これらリスクを解決するためのポリシーを公式化するため」に同様の聴聞会を開催している。70人以上の専門家が将来的な消費者保護の問題を分析し,鋭い洞察を行ったが「誰ひとりとしてスパイウエアなどの不正侵入ソフトについて触れなかった。しかし,現在スパイウエアは,消費者が最も懸念する問題としてスパムを追い抜く勢いだ」(同氏)。

 同氏は,「10年は技術の世界では無限ともいえる長い時間だが,(そのようなはるか昔の)前会の教訓もまだ生かせる」と述べ,以下の4点を上げた。

1)新技術を研究および検証し,その技術から生まれる有害な問題に対して準備する
2)適切な法的措置をとり,FTCの法規の基本原則を新技術の内容に適用させる
3)業界が自己規制の体制を導入し,新技術を開発するよう促す
4)消費者を啓もうし,自己防衛策を講じるようにする

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,FTCは「スパイウエア配布行為の摘発では国境が障害となっている」として米「Safe Web Act(Undertaking Spam, Spyware, And Fraud Enforcement With Enforcers Beyond Borders Act)」案の法制化を強く求めている。「同法案が制定されれば,国境をまたがる捜査が行き詰まることもなくなる。明らかに,スパイウエア犯罪者にとって国境はたいした障害ではない」(Majoras氏)

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