Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏は,Linuxカーネルのソフトウエア・ライセンスをGPL Version 3(v3)に移行しないとの見解を表明した。Torvalds氏が米国時間1月25日に,Linuxカーネル関係のメーリング・リストlinux-kernel mailing listへの投稿で明らかにしたもの。

 GPLv3は,現在Linuxカーネルが適用しているGPLv2の新版。Free Software Foundation(FSF)が1月16日に草案を公開した。1991年に策定したGPLv2をベースに,デジタル著作権管理(DRM)やソフトウエア特許に関する項目を加えた。

 GPLv3の問題点として,Torvalds氏は,パスワード入力が必要なことを例に挙げた。「プライベートな情報の入力を強いるなんて,どうかしていると思う。私ならそんなことはしない。LinuxカーネルがGPLv3に移行することはないだろう。なぜなら,私は個人的に自分のコードを1つも移行させたくないからだ」(同氏)

 なお米メディア(internetnews.com)では,オープンソース・コミュニティはおおむねGPLv3を歓迎しているなどと報じている。Linuxディストリビューションの1つであるDebian GNU/Linuxや米Novell,米IBMなどもGPLv3を支持しているという。

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[Torvalds氏の投稿]