米国土安全保障省(DHS)は,無線ICタグ(RFID)の付いた電子パスポートの実運用試験を米国時間1月15日にサンフランシスコ国際空港Gターミナルなどで開始した。DHSが1月13日に明らかにしたもの。試験はオーストラリア,ニュージーランド,シンガポールも参加し,2006年4月15日まで実施する。

 電子パスポートには非接触で情報を読み取れるRFIDが組み込まれており,米国政府などが導入を予定している。RFIDには,持ち主の個人情報と顔写真が記録されている。DHSは「試験で使う電子パスポートは(光学式読み取りを併用する)基本アクセス制御(BAC:Basic Access Control)方式のセキュリティ機能を採用し,権限のない人物がデータを読み取るスキミングを防ぐ」と説明する。

 試験には,新しい電子パスポートを発給されたオーストラリアおよびニュージーランドの一般市民,シンガポールSingapore Airlinesの職員とシンガポール政府関係者,米国外交パスポートの保持者が参加する。サンフランシスコ国際空港,シンガポールのチャンギー空港,オーストラリアのシドニー空港に到着した際,電子パスポートを係官に提示する。

 DHSなどは,新たに開発したRFID読み取り装置やソフトウエアが手続きに与える影響を調べる。試験参加者に対する実際の出入国手続きは,従来のまま変更しない。

◎関連記事
「RFIDの法的/プライバシ問題を懸念する連邦政府機関はわずか1つ」,米会計検査院の調査
米国務省,電子パスポートで米Entrustの電子署名チップを採用
【CRYPTO-GRAM日本語版】RFIDパスポートのセキュリティを再考
【CRYPTO-GRAM日本語版】RFIDパスポート
米国の電子IDカード法案「Real ID Act」,米上院でも可決
【CRYPTO-GRAM日本語版】REAL ID
「米国のテロ対策法は技術ベンダーに110億ドル以上の経済効果」,米調査
【CRYPTO-GRAM日本語版】“信頼できる旅行者”プログラム

[発表資料へ]