米AMDが,これまで映画/放送/音楽業界向けに展開していたエンターテインメント・パソコン・ブランド「AMD LIVE!」の対象を一般消費者にも広げると,米国時間1月4日に発表した。同ブランドを付けた消費者用マルチメディア・パソコンは,2006年半ばに利用可能になる見込み。

 2004年から同ブランドは,64ビット・プロセサ・アーキテクチャ「AMD64」をベースにしたプロ向け機器に提供されていた。消費者向けとして展開するにあたり,デスクトップ・パソコン用デュアルコア・プロセサ製品系列「AMD Athlon 64 X2」や,ノート・パソコン用のデュアルコア・プロセサにも対応する。OSは,メディア・センター向けOS「Microsoft Windows XP Media Center Edition 2005」や,次期Windowsの「Windows Vista」を使う。

 AMD LIVE!対応パソコンを利用すると,家庭内のどこからでも音楽やビデオなどのコンテンツにアクセスできるほか,ノート・パソコンやMP3/メディア・プレーヤ,PDAなどに転送して出先でも楽しめるようになる。「AMD LIVE!は,パソコンの周囲2フィート(約60cm)に限られていたエンタテインメントに関するインタラクティブな操作性を,10フィート(約3m)に拡大する」(AMD社)。

 またAMD社はフランスとイタリア合弁のSTMicroelectronicsとともに,AMD LIVE!対応のセットトップ・ボックス向けリファレンス設計を同日発表した。STMicroelectronics社のLSI「STB710x」を搭載するネットワーク接続可能なセットトップ・ボックスで,H.264およびWindows Media 9による高精細映像やケーブル/衛星テレビが楽しめる。パソコンとの接続機能も備える。

 AMD LIVE!に対しては,米Alienware,カナダATI Technologies,米Broadcom,米Motorola,Nero社,米NVIDIA,台湾VIA Technologiesが対応を表明している。

 なお,米IntelもAMD LIVE!と同様の戦略として,エンターテインメント・パソコン用基盤技術「Intel Viiv」の提供を2006年第1四半期に開始する予定。両社の取り組みの違いについて,米メディア(CNET News.com)は,AMD LIVE!がプロセサだけを対象とするの対し,Intel Viivブランドを使うにはプロセサに加えてチップセット,ネットワークLSI,ソフトウエアもIntel社製品を採用する必要があると報道している。

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[発表資料(AMD LIVE!)]
[発表資料(STMicroelectronics社との協業)]