米IBMとネットワーク管理ソフトウエアを手がける米Micromuseは,IBM社がMicromuse社を買収することで最終合意に達したことを,米国時間12月21日に発表した。IBM社は,Micromuse社の株式1株につき10ドルを現金で支払う。買収総額は約8億6500万ドル。取引は,Micromuse社の株主および規制当局の承認を経て,2006年第1四半期に完了する予定。

 Micromuse社は,銀行,電気通信キャリア,政府機関,小売販売会社などに向けて,データ,音声,ビデオ・トラフィックが混在するITシステムの管理ソフトウエアを提供している。IBM社は,「同社のソフトウエアはIT環境の性能を迅速に診断できるほか,ネットワークの侵入などを検出し,当社の自己管理型ネットワーク技術を強化できる」と説明する。

 買収後,Micromuse社はIBM社のTivoliソフトウエア事業部門の管轄下に入る。IBM社はMicromuse社の製品技術をTivoliブランドおよびIBM社のハードウエアやサービスに組み込む。

 米メディア(InfoWorld)によると,現在ネットワーク管理ソフトウエア市場では,IBM社,米Computer Associates International,米Hewlett-Packard(HP)の3社が覇権争いを展開している。「IBM社は,米Cisco Systemsと収益性の高いOEM契約を結ぶMicromuse社を買収することで,自社技術を補完し,市場で優位に立ちたいと考えている」(米IDCのアナリスト,Stephen Elliot氏)。

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