米Google,米Microsoft,米Sun Microsystemsは,米カリフォルニア大学(UC)バークレー校に新設するインターネット関連の研究所に共同出資する。同校が米国時間12月15日に明らかにした。3社は毎年平均50万ドルずつ,今後5年で総額750万ドルの資金を投じる。

 新たな研究所「Reliable, Adaptive and Distributed systems laboratory(RAD Lab)」は,「人々が日常利用している大規模インターネット・サービスと同様に価値あるサービスを,個人の発明者や起業家が提供できるようにするための技術を構築することを目指す」(UCバークレー校電気工学およびコンピュータ科学部教授のDavid Patterson氏)。同氏によれば,3社は開発初期段階の技術アイデアを目にするというメリットを享受できるという。同時に,実用に向けて克服しなければならない課題を指摘するといった役割を担う。

 RAD Labの設立メンバーには,Patterson氏をはじめ,同校同学部教授のMichael Jordan氏,Randy Katz氏,Scott Shenker氏,Ion Stoica氏が名を連ねる。もう1人のメンバーArmando Fox氏は現在,米スタンフォード大学コンピュータ科学部の助教授だが,2006年7月にUCバークレー校に加わる予定である。立ち上げ時のスタッフは,これら6教授とコンピュータ科学部の大学院生10人。今後数年で,学生の数を30人に増やす予定。

 同研究所では,従来のソフトウエア・エンジニアリングに変わる開発手法に焦点を当てるという。従来型ソフトウエア・エンジニアリングは,システム・コンセプトに始まり,開発,査定またはテスト,導入,稼働という順序だてた段階を踏んで遂行される。こうしたエンジニアリング・モデルは,速いペースで進化するインターネット時代にはついていけない。

 また,大規模な技術サポート・スタッフを擁するインターネット・サービスならば,ユーザーからのフィードバックをもとに継続的に改良を加えることで,数百万人のユーザーに対応できるようなサービス/製品に拡充することも可能だが,小規模な企業や個人には困難である。Patterson氏は,「RAD Labの目的は,大規模組織を必要としない技術を開発し,小規模グループや個人起業家にも革新の機会を提供すること」と述べている。

 なお,同研究所から生まれたソフトウエアやアプリケーションは,Berkeley Software Distribution(BSD)ライセンスのもとでソース・コードを配布し,無償公開する。

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