米Forrester Researchは,2005年第3四半期における米国IT業界の景況に関する調査結果を発表した。それによると,米国のIT業界は2001~2003年の不況期を脱し,ベンダーの利益や売上高,雇用,支出が健全に成長しているという。

 調査では,米情報技術協会(ITAA)の協力を得て,需要や供給,米国ITベンダーの業績など11の項目をもとに,「ハイテク産業指数」を算出した。調査を実施したのは今回が初めてとなるが,2002年の景気後退期をベースライン値に設定し,その後のIT分野の動向を分析した。

 2005年第3四半期のハイテク産業指数は121.6ポイントで,前期と比べ3.9ポイント成長した。Forrester社は,「CIOの予算とIT支出に対する信頼度が向上したため」と説明する。

 CIOの支出計画,技術の輸出,ITベンダーの売上高などを含む「需要指数」は,前期と比べ8.5ポイント増加。過去最高の成長率で,「当期のハイテク産業指数の伸びに最も貢献した要因」(同社)という。

 ベンチャ投資資金,IT雇用,技術の輸出などを含む「供給指数」は,前期比0.6ポイント減少。しかし低下の度合いは過去数年と比べて小さいことから,新技術への投資全般が高まっている兆候とみる。

 当期のIT雇用は1万5500人の新規雇用を生み出すなど,増加傾向にある。またベンチャ投資は減少しているが,「過去3年において,同様の減少が第3四半期に発生しているため,季節的な変動と思われる」(同社)。

 なお,供給指数は2003年末より100前後を推移している。IT製品やサービスに対する需要が供給を上回っているものの,オフショア・アウトソーシングと技術輸入が両社のギャップを埋めているという。

 米国IT企業の利益と売上高,IT製品/サービスの価格,株価などを評価する「売上高および評価指数」は,前期と比べ2.6ポイント上昇。

 同社は今後の展望について,「ハイテク産業指数は2006年に不安定な動きをみせ,2007年にはやや下降する。しかし,2008年には新技術の波が押し寄せ,IT支出も一気に増加する」と予測している。

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