近距離無線規格Bluetoothの標準化団体Bluetooth Special Interest Group(SIG)が,無線LAN製品の相互接続性を確認する業界団体Wi-Fi Allianceおよび近距離無線通信規格Near Field Communication(NFC)の推進団体NFC Forumと協調し,各無線通信規格の連携を図ると米国時間12月12日に発表した。

 現在Bluetooth SIGには,4000社以上の企業が会員として参加している。その多くは,Bluetoothだけでなく,複数の無線通信技術も扱うという。「(各規格間で)協調することは,無線ソリューションの改善を最も迅速に進められる最良の方法だ。それぞれの技術,機能,ユーザー・インタフェースを組み合わせると,無線技術の全体的な操作性が向上する」(Bluetooth SIG)

 Wi-Fi Allianceは無線LAN規格であるIEEE802.11a/b/gをベースに,各製品間の相互接続性認定制度「Wi-Fi」を運営している。現在出荷されるノート・パソコンの90%が対応しているほか,携帯電話機やデジタル・カメラなどでも搭載する製品が増えてきたという。Bluetooth SIGでは,Wi-FiとBluetoothを協調させると,両技術に対応した家庭用ゲートウエイやメディア・センターが実現可能になるとみる。

 NFC Forumの推進するNFCは,数cm以内の短距離を対象とする通信技術。ソニーとオランダRoyal Philips Electronicsが共同開発し,2003年にISO/IEC IS 18092となった。Philips社の「Mifare」とソニーの「FeliCa」といった非接触型スマートカードなどが採用している。「NFCとBluetoothを組み合わせは,2台のBluetooth対応機器が初めて接続を確立する際の識別処理“ペアリング”に使える可能性がある」(Bluetooth SIG)

 なおBluetooth SIGは2005年5月に,Bluetoothと超広帯域無線通信(UWB)を組み合わせて大容量データの高速転送を実現させる取り組みについて,UWB技術者と協調する意向を明らかにしている(関連記事)。

 UWBは,WiMedia-MultiBand OFDM Alliance(WiMedia-MBOA)という団体が推進する技術。広い周波数帯にデータを分散させてやり取りすることで,100M~2Gbpsという高速通信を可能とする。Bluetooth SIGは,既に要求仕様「UWB Market Requirement Document」の作成を終えており,2007年の前半には仕様書を,2007年の後半には試作品を提供できると見込む。

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