「インターネットが政治的な情報を収集する際に役立つと考える米国人は,2003年の27.3%から2005年の39.8%へと,初めて増加した」。南カリフォルニア大学Annenberg School Center for the Digital Futureは米国時間12月7日に,インターネットが人々の生活に与える影響について調査した結果を発表した。

 調査は米国人を対象に,2000年以降,2004年を除いて毎年実施しているもの。回答者はインターネット利用者と非利用者の両方を含む。

 政治キャンペーンにおいて,インターネットの利用が重要だと考える人は61.7%に達した。また,インターネットを利用することで,政治に対する理解を深められるとする人は,インターネット利用者で60.4%,インターネットの非利用者で34.6%だった。

 Center for the Digital FutureディレクタのJeffrey I. Cole氏は,「インターネットが米国の政治で果たす役割は日増しに重要になっており,2006年の議会選挙では大きな影響を与えるだろう」と推測する。

 2005年に,オンラインで大統領選挙に関する情報収集を行ったインターネット利用者は41.1%。またこれらのインターネット利用者のうち,オンラインで入手した情報に満足した人は87.2%である。

 調査からインターネットが着実に普及していることも分かった。2005年にインターネットを利用した米国人は78.6%にのぼり,利用時間も1週間当たり13.3時間と過去最高を記録した。インターネットの家庭ユーザーも2000年の46.9%から66.2%へと大幅に増えた。

 また,低所得層と高齢者のインターネット利用が拡大している。年収が3万ドル未満の所得者層でインターネット利用者が占める割合は,過去4年の50%前後から2005年には61%へと成長した。また56~65才の年齢層でインターネット利用者が占める割合は,2000年の55%から2005年には74.9%へと急伸した

 その他の主な調査結果は次の通り。

・インターネットにモデム接続をする人は45.6%,ブロードバンド接続している人は48.3%

・17才以上のユーザー層で,インターネットが情報源として「重要」もしくは「非常に重要」とする人は56.3%

・2005年におけるインターネット利用者のオンライン支出は,2001年と比べ1カ月当たり平均43ドル増加した

・インターネット利用者で電子メールを使っている人は89.9%。1日に数回,もしくは1時間に1回以上メール・チェックを行う人は37.9%

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