Linux普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は11月20日,デスクトップ向けLinuxの普及について調査した結果を発表した。それによると,企業はデスクトップ向けLinuxを導入する際に,電子メールおよびメッセージング・アプリケーションを最も重視しているという。
調査は,同団体のデスクトップ向けLinuxを推進する作業グループ「Desktop Linux Working Group」が2005年10月に実施したもの。オンラインでアンケートを行い,3300人以上から回答を得た。
OSDLは,「電子メールがどのプラットフォームにおいても“キラー・アプリケーション”であることは間違いない。優れた電子メール・アプリケーションが登場しない限り,デスクトップ向けLinuxの普及は見込めない」と指摘する。
企業がその他に重視するアプリケーションは、「オフィス向け生産性ツール(ワープロソフト,スプレッドシート等)」「ブラウザ」「データベース」「開発者向けツール(エディタ,コンパイラ等)」などだった。
また,企業によるデスクトップ向けLinuxの導入理由は次の通り。
1. 社員(開発者)からの要望
2. 競合会社が首尾よく導入しているため
3. TCO(総所有コスト)
4. ライセンス費の削減
5. セキュリティ
6. ソース・コードが入手できるのでカスタマイズ可能
7. 社内方針
8. 既存のOSに不満
OSDLは「TCO」と「ライセンス費の削減」といった経済的な理由が「セキュリティ」よりも上位に挙がっていることについて,「Linuxは他のOSと比べて安全であるという前提があるためでは」と推測する。
一方、企業がデスクトップ向けLinuxの導入を躊躇する理由としては,「アプリケーション・サポートが不十分」が最も多かった。具体的には,「Photoshop」「PageMaker」「AutoCAD」「Quicken」といったアプリケーションや,VPNクライアントなどのユーティリティに対するサポートの要望が高い。
次いで「周辺機器のサポートが不十分」が多く,USB対応機器の接続やネットワーク印刷などでトラブルに直面していることが分かった。他には「エンド・ユーザーの研修」などが挙げられた。
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