米Jupitermediaの一部門であるJupiterResearchは,「欧州では違法な音楽ダウンロードが合法サービスからの購入を上回っている」とする調査結果を米国時間11月29日に発表した。

 調査によれば,対象となった欧州の消費者のうち,15%が違法なファイル共有ネットワークから音楽をダウンロードしていると回答している。これに対し,米Apple ComputerのiTunes Music Storeといった合法なオンライン・ショップから購入していると答えた人は5%だけだった。有料ダウンロード・サービスに対する需要もあるものの,これらのサービスを利用したいと考えている消費者の割合は全体で10%だった。この割合がもっとも高いのはスウェーデンで31%だった。

 ファイル共有ネットワークのユーザーは15~24歳がもっとも多く,同年齢層の34%が利用している。インターネットで音楽を利用している同年齢層のユーザーの46%が「CDは時代遅れ」と考えていることが明らかになっており,40%は「CDにお金を払う価値が無い」と答えている。また,「CDを買うよりもコピーした方が良い」との回答も43%に上った。同社では,ファイル共有の影響により「音楽は有料で買うものだという意識が薄くなっている」と指摘している。

 同社アナリストのMark Mulligan氏は「違法な活動がもっとも大きな脅威である。デジタルに慣れ親しんだ若者は,ファイル共有ネットワークから無料で自由に音楽を入手できる環境に育っている。これらの消費者の年齢と消費力が増すにつれ,音楽を購入する消費者の中心層となるはずである」とコメントしている。

 「音楽業界がデジタル音楽またはCDに関わらず,若者に音楽を購入する習慣を身に付けさせなければ,音楽業界は長期的な損害を被る可能性がある」(同氏)

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