米Gartnerは米国時間11月29日,2006年以降のIT分野の展望について6つのトレンドを発表した。同社はこれらのITトレンドが市場の成長をけん引し,新たなビジネス・チャンスを提供すると予測している。

 6つのトレンドの主な内容は以下の通り。

・2008年までに企業の10%が社員にノート・パソコンの購入を求めるようになる。
 ノート・パソコンの価格低下に伴い,車のガソリン代を通勤手当として支給するように,“ノート・パソコン手当”を支給してノート・パソコンの各自購入を社員に求める企業が増加する。パソコン資産を各社員に移すことで,企業はあいたITリソースをより重要なビジネス業務に割り当てる。

・2010年までに,携帯電話もしくはIP電話だけを利用する米国家庭は30%に達する
 米国ユーザーがVoIP技術に慣れ,VoIPサービスが向上するに伴い,固定回線の利用者は減少する。また2009年には,開発途上国で開設される音声通信回線の99%はモバイル回線になる。

・2010年までにITスペシャリストの雇用市場は40%縮小する
 今後10年間は,多分野にまたがる職務やビジネス価値に精通した“ITマルチ人間”の需要が高まる。

・2008年までに,ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービス・プロバイダの米国保険市場における売上高は110億ドルに達する
 保険会社はレガシー・システムの移行業務に,BPOプロバイダを利用し始めている。2008年には,保険分野向けBPOにおいて,銀行や投資会社などと連携可能な知的財産や技術プラットフォームが確立する。

・2009年までにヘルスケア分野におけるソフトウエア投資が50%以上成長する
 ソフトウエアなどITに対する投資の増加で,2013年には防ぎうる死亡(preventable
death)が半減する。

・自由裁量予算の多くが規制準拠のために費やされ,2008年まで新技術の研究が滞る
 米国と欧州で規制準拠の競争が続いており,規制準拠のための支出は,IT支出の2倍のペースで増加する。

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