韓国のSamsung Electronicsは,曲げることのできる7インチ型の透過型カラー液晶ディスプレイ(LCD)の開発に成功した。Samsung社が現地時間11月28日に明らかにしたもの。表示画素数は640×480ピクセル(画素密度は114ppi)。2005年1月に試作した同様の5インチ型LCDに比べ大きさは2倍。「(曲げられるLCDとしては)世界最大」(同社)という。

 従来のLCDがガラス基板を使うのに対し,同LCDはより薄く,軽く,丈夫な透明プラスチック基板を採用している。ただしプラスチック基板は熱に弱いため,標準的なガラス基板向けアモルファス・シリコン製造技術よりも低い摂氏130度以下という温度で処理可能な,アモルファス薄膜トランジスタ,カラー・フィルタ,液晶向け低温製造プロセスを開発した。

 同LCDは,湾曲させても厚さが変わらないという特徴を備える。「曲げても壊れないので,商業デザインに大きな自由をもたらす。携帯電話機やノート・パソコンのディスプレイだけでなく,ファッション性を強調した分野やウエアラブル・ディスプレイなどに応用できる」(同社)

 そのほかの主な仕様は以下の通り。

・開口率:40%
・輝度:100cd/平方m
・色再現性:NTSC比60%

 なお米メディア(InfoWorld)によると,Samsung社が2005年1月に試作したLCDの表示画素数は400×300ピクセルだったという。

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