米Frost & Sullivanが,欧州の車載用「インフォテインメント(infotainment)」機器市場に関する調査結果を英国時間11月24日に発表した。それによると,2010年の市場規模は62億ユーロ(約72億9700万ドル)。ただし,インフォテインメントという言葉の認知度は低く,調査対象者の61%は「聞いたことがない」と答えた。

 インフォテインメントとは,情報提供とエンターテインメントを融合するサービスや機器に対する概念で,informationとentertainmentを組み合わせた造語。車載用のインフォテインメント機器としては,オーディオやナビゲーション・システム,電話システム,マルチメディア装置などがある。

 Frost & Sullivan社業界アナリストであるFranck Leveque氏,Soikot Sengupta氏,Praveen Chandrasekar氏は,「OEM企業はマーケティングと販売を強化し,インフォテインメントの認知度向上に今すぐ取り組むという大きな課題に直面している」と述べる。「OEM企業は,さまざまなチャンネルを通し,インフォテインメント・システムの持つ多くのメリットを消費者に伝える必要がある。インターネットは,この取り組みにおいて重要な役割を果たすはずだ」(3氏)

 車載用インフォテインメント機器のなかでは,AM/FMラジオ・チューナ,デジタル・ラジオ・チューナ,6連装CDプレーヤの付いた基本的なオーディオ・システムの人気が最も高かった。次いで消費者が利用を希望する機器はナビゲーション・システムで,「フランス,ドイツ,スペイン,英国では,50%以上の人が『次に購入する車に取り付ける』と回答した」(3氏)。このことから,消費者の自動車買い換えにともない,今後数年間でナビゲーション・システムの普及率が急増すると見込む。電話システムの導入優先順位は低く,マルチメディア装置を利用したいと考える人は最も少なかった。

 回答者の68%は,取り外し可能なインフォテインメント機器よりも,ナビゲーション/オーディオ/マルチメディア機能を1台で提供する固定式の装置を希望している。

 価格については,一通りの機能を備えるインフォテインメント・システムが平均1540ユーロ(約1812ドル)とされるのに対し,消費者は1240ユーロ(約1459ドル)が上限と考えている。

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